今日のラノベ!

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン1

電撃文庫より
『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』です。


【あらすじ】

隣接するキオカ共和国と戦争状態にある大国、カトヴァーナ帝国。その一角に、とある事情で嫌々、高等士官試験を受験しようとしている、一人の少年がいた。彼の名はイクタ。
戦争嫌いで怠け者で女好き。そんなイクタが、のちに名将とまで呼ばれる軍人になろうとは、誰も予想していなかった……。
戦乱渦巻く世界を、卓越した才で生き抜くイクタ。その波瀾万丈の半生を描く、壮大なファンタジー戦記、いよいよ開幕!


感想:★★★★★

記事タイトルのとおり、deskyzerとしては珍しく再読です。
普段だったらあやふやな記憶でも続きを無理やり読むんですが、戦記ものとなると空気感はしっかり把握しておきたかったので今回はこういう形になりました。



イクタの性格には賛否あると思うんですが、私は彼の行動の軸がはっきりしているので好きです。

「僕は徒労が大嫌いで、その分、自分が怠けるための適切な努力を惜しまない」
(本文p.42)

これが彼の軸を的確に表した一文ですね。
この考え方にプラスして、この作品の世界観のなかで重要になる「科学」の考え方が組み合わさると……非常に面白くなります。
あぁ、いや、逆なのか。
プロローグ及びエピローグで出てくる「科学」の提唱者アナライ・カーンの弟子のひとりであるイクタだからこそ、この考え方に至ったと。


なぜなら、科学とは人間が
  楽をするための技術であるのだから




これはこの作品に限った話ではなく、割と有名な話ですよね。
例えば、洗濯機が普及したことで主婦の自由時間が増え、習い事やちょっとした娯楽にかける支出が増えるようになった、とか。

そういった現実での科学の進歩をふまえた上で、科学というものが認められていない世界での科学の成立~勃興期を見るというのは本当に面白い!
精霊っていうイレギュラーがあるから現実と全く同じとはならないだろうけど。
……そうじゃないとただの科学史になっちゃうし(笑)



そして科学発展のもうひとつの側面とえいば、戦争、ですよね。
これまた現実での例でいえば、GPS、ネットワークシステム、爆弾、核開発 etc……
戦争があったから科学が栄え、それが生活を豊かにする。
そんな流れがあるというのも、この作品が戦記ものである背景にあるんじゃないかなぁ、と推測。



イクタを怠け者と断じて良いのは、第1章まで。
もし、1巻丸々最後まで読んでそれでも怠け者だと言うのなら……作中でイクタに手篭めにされヤトリに呆れられていたサリハスラグ大尉タイプか、はたまた高等士官学校の鬼教官タイプか。

「少ない労力で最大のリターンを生み出す」

金銭に置き換えて考えると素直に受け入れられるのに、労働に対してはこの考えは唾棄される人類(あるいは日本人?)の悪癖。
それが宗教というファクターを通してより純化されている世界でのイクタの科学的思考には、(イクタが聞いたら嫌な顔をするだろうけど)畏敬の念すら湧いてきます。





なんかひたすらイクタを擁護していたけど……1巻は「イクタって実はこういう奴」というのをひたすら分からせるためのストーリーという側面を大いに持っているので問題無いですね!
他にどういう側面を持っているかというと、姫様の計画を始めるための序章、”騎士団”の6人の変化、などなど。


「科学」「軍事」をテーマにしつつも、ヤトリ&イクタの軽妙な会話が全く重く感じさせず、その軽さがあるから命が動くとこちらの心も動かされます。
控えめにいって超面白いです。

本気でオススメ。




以上!

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (電撃文庫)
宇野朴人
KADOKAWA/アスキー・メディアワークス (2012-06-08)
売り上げランキング: 122,206