今日のラノベ!

魔王の始め方 3

魔王の始め方 3

著者:
笑うヤカン

イラスト:
新堂アラタ

レーベル:
ビギニングノベルズ


【あらすじ】

「お前の最後の言葉は覚えているぞ。…言われたとおり、信じてやる」ユニスの魂を取り戻すため宗教国家ラファニスへ攻め込むオウル達。ラファニスは神の御遣いである天使達が支配する国。まさに天に立ち向かうかのような無謀な戦いにオウルが取った手段は、巨大なダンジョンそのものを…!?天使と魔王。知略と戦力を最大限に出し切った総力戦。仲間、そしてダンジョンを愛する者達を待ち受ける結末とは!?




感想:★★★★★


完!

前半200ページ弱ではオウル勢力がラファニスへ攻め込む話、後半140ページ弱で後日譚や前日譚が描かれる、という構成。


馬がいない空飛ぶ馬車では攻めきれず、オウルが使った奥の手の中の奥の手は、ダンジョンを丸ごとその中に宿した超弩級ゴーレム「オウルの動く城」(名前はダンジョン解説より)。
それだけの手を使い、魔物英霊エルフ魔獣魔術師etcの総力を結集し、それでもなお薄氷の上の勝利。
こんな安っぽい言葉でしか表現できないのが悔しいくらい、良い戦いでした。

えぇ、まさに今までの物語を結集させた戦い!
リル・スピナ・ユニスの3人とオウルとの今までの積み重ねがはっきり見えるVSメリザンドの最終局面は、それぞれの初登場シーンが頭に浮かんできましたし。
46pにも及ぶオウルから女性陣への魔力供給(=Hシーン)は、それこそ誰とどういう出会いがあって、どんな関係性があったかを振り返ることができたし、その上でオウルの御旗のもとに1つにまとまる様はこの作品を象徴すると言っても過言ではないですよね。

御旗(意味深)

そんな中でも前半だと特にウィキア・シャル・ナジャの3人とデュラハンが意思を疎通させて戦うシーンが特に好きですね…。
あんな別れ方(1巻参照)でも、それまでに培っていた関係性はそう簡単に消えるものじゃないんだなぁ、と。
そのあたりの何というか”記憶”とか”繋がり”みたいなところは、この作品では頻繁に出てきていたと思うんですが、オウル以外との関係性のなかでそういったものが出てくるのは珍しかったかなぁ、と。

オウルのもとを離れ武者修行していたミオもそうだけど、終盤はオウルと離れたところでのそういった成長がうまくかみ合っていたのが良かったです。
部下の成長を通して総力を向上させるオウルの手腕が見えるというか。
こいつどんだけ先を見通してるんだよ…、って毎回色んなところから思わされますね…。





で、後半。
マリーとメリーが遂にオウルに捧げたり、オウルタウンがオウルシティになったり、結婚式したり、スピナと3日3晩まぐわったり、ラズとオウルの出会いと別れだったり、マリーが13歳になってローガンが葛藤したり、ユニスが赤ちゃんを産んだり、天界が本気で攻めてきたり……。


後日譚は、ラファニスとの戦いの後で平和を楽しみ気の赴くままに生活する姿が描かれていてほっこりしました。
1巻でスピナが媚薬スライムを作ってユニスがその犠牲(笑)になる…みたいなちょっと気の抜けるようなエピソードが、あの戦いの後になるとすごく貴重で美しい時間のように思えるから不思議。
ローガンの言うとおり、あの幸せは無限じゃなくて有限。
しかもどんなに長くてもオウルがリルより長く生きることは無いんですよね…。
もちろん普通に人間なミオやマリーはもっと早く死んでしまうわけで。
もっと早く…といっても我々と同じ100年前後ですが。

なんか……幸せだけど寂しいですね…。




唐突ですが好きなキャラランキンーグ!!

1位:ミオ
2位:リル
3位:スピナ
4位:ユニス
5位:ノーム

正妻ズを差し押さえて「獣の魔王」がトップ!
普通に異常なことやってのけるそのスタイルが大好きです!



そして!!

完!と冒頭で書きましたが、大人気によりまさかの続刊が刊行!
嬉しい。超嬉しい。


孤独だった老人が、魔王となり、賑やかな毎日を過ごす。
そんな”平和”が願わくば彼の望むままに続きますように。



以上!

魔王の始め方 3 (ビギニングノベルズ)
笑うヤカン
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