今日のラノベ!

エクスタス・オンライン01

エクスタス・オンライン
01.魔王はクリアを許さない

著者:
久慈マサムネ

イラスト:
平つくね

レーベル:
角川スニーカー文庫


【あらすじ】

スクールカースト底辺の堂巡駆流は、VRゲーム“エグゾディア・エクソダス”に君臨する最強魔王ヘルシャフトに転生。しかも“禁断の力”まで手に入れた!ところが、現れた敵は、憧れの女の子・朝霧凛々子や見知ったクラスメートたち。朝霧たちは、魔王を倒せば元の世界に戻れると信じていたが、本当は魔王が死ぬと全員の命が危険で―!?大切な人を求うため、堂巡/ヘルシャフトは最強の力でクラスメートを迎え撃つ!!




感想:★★★☆☆

『魔装学園H×H』の久慈マサムネ先生の新作です!




学校の授業に試験的にVR技術を導入したその最初の一歩「世界遺産巡り」に出発した主人公・堂巡含めた1クラス36人が、何らかのトラブルで開発中のVRゲームへダイヴしてしまう。

サーバー、ネットワークを共用していたことで混線したらしいけど……その、なんだ。
仮にも一般の人が参加するオープンなもので開発中のクローズドなものにトラブルとはいえアクセスできてしまうのはセキュリティ的にどうよ?
そのままサーバー移管せずにゲームがリリースされてたとしたら、それこそSAO的なものが人為的にあれよりもっと酷い形で起こっていたんじゃないかと、本編と関係ないところで戦慄。



魔王・ヘルシャフトとして転生した堂巡は、魔王軍の中では当然魔王として威厳その他を見せつつ軍を率い、装備変更で普通の人間としてクラスの皆のところに潜入し(と言ってももともとぼっちなので…)、「魔王を倒させないため」の戦略を練る、という物語。



堂巡が一方ではカースト最上位として、もう一方ではカースト最下位として存在するのに、どちらの陣営に対しても正体がバレたら死ぬ(ゲームでもリアルでも)というのが最大のポイントですね。

「本性を隠す」っていうのはおそらく人間のコミュニティを形成する上では欠かせないものですが、それの使い分けを、しかも真逆の立場で見れるっていうのは結構面白いです。

隠し方という切り口で見るなら、魔王ヘルシャフトの時は言葉や身振りで積極的に情報を付与して本性を隠し、クラスのぼっちの時はなるべく喋らないように、関わらないようにして情報を渡さないようにして本性を隠す。
この使い分けは身につけたいですね…。
第一印象以上の情報をどれだけ相手に示せるか、示さないかを意図的にコントロールできるなら人生の上で相当のアドバンテージになる気がします……!

そういう意味では堂巡くんの「人と関われないんじゃない。人とのコミュニケーションは機会損失なんだ」っていう考え方は、決して強がりで言ってるんじゃなく、本当に「できるけどやらない」なのかも…?



まぁ、でもボロとまでは言えないけど尻尾がチラッと見えるシーンもあるんですよね。
歓迎会のような場所でクラスメイトを呼び捨てで呼ぶシーンなんかは、本当にクラスでぼっちだったんだとしたらありえない。
ぼっち具合にもよるけど、少なくとも本当のぼっちはほとんど喋らない相手を呼び捨てで呼ぶなんてことは…無いっ!!

ここぞとばかりに堂巡がどもるシーンはいくつもあるけど、流暢にタメ口で喋ってるシーンもあるからそこはキャラを統一してほしかったですかね…。






で、肝心の(?)エロ方面ですが。



十分エロいし今回シた3人が3人ともビクビクしてるわけだけど、『H×H』と比べるとシーンは薄めです。
結構簡単に昇りつめていかれます。はい。

堂巡は「エクスタス」と「ヘル&ヘヴン」の2つしか魔法を使えず、それが両方とも(本来のゲームの設定では)課金必須の18禁仕様なんですが、その割には薄いです。
堂巡の人間(魔族)関係の掌握だったり、クラスメイトの動き方のようなエロ以外の他の部分を魅せたいという意図は感じるけど、だったらなぜ堂巡の能力をエロ特化にしたのかと思わなくもないです。

……ていうか18禁の能力しか持ってないのに、本来のゲームの設定としてはどうやってラスボスとして君臨するつもりだったんだ……?!
18歳未満の人が来たら詰むじゃねぇか…!!





ヘルシャフトの手にかかった朝霧と雫石という二人のクラスメイトの精神が、今後どんな変遷をたどっていくのかが楽しみです(ゲスい)




以上!

エクスタス・オンライン 01.魔王はクリアを許さない (角川スニーカー文庫)
久慈 マサムネ
KADOKAWA/角川書店 (2016-08-31)
売り上げランキング: 1,887

スポンサードリンク