どもー。
デスカイザーです。

「9月の新刊情報まとめ」の記事で今年は風邪ひかないだろうみたいなこと書いたんですが、物の見事にひきました……。
微熱レベルなので楽といえば楽なんですが、なんか悔しい…。


今日のラノベ!

織田信奈の野望 全国版16

富士見ファンタジア文庫より
『織田信奈の野望 全国版16』です。


【あらすじ】

「命を救われた日から、素晴らしい人生でした。僕は岐阜城で武田・徳川軍を一刻でも長く、食い止めます」命尽きかける信澄を救うため、信奈と共に奔走する良晴。そんな折、前将軍・足利義輝と側近・細川藤孝が、東軍に参戦!彼らが出した和睦条件は―光秀と藤孝が祝言をあげること!?自らの恋と織田家の命運。光秀は、本当の苦境に立たされた。戦局打破のため、将軍・今川義元と奥州の覇者・伊達政宗がついに動き、光秀のもとには宣教師・ガスパールが現れる!?「さあ、はじめましょう。運命に抗い、未来を奪い合う戦いを」全姫武将たちの総力決戦!関ヶ原編、ついに開幕!


感想:★★★★★

「あぁ、これが”全国版”の意味か」と納得。


北は東北、南は薩摩まで全国の諸将が織田の西軍か、それを討ち滅ぼす東軍かにつき、天下分け目の大戦へと突き進む。
”関ヶ原”に至るまでのプロローグがこの16巻ですね。

あとがきでも触れられていますが、この時期の戦国を綴る物語は群像劇として描かれることが多いように思います。
(意図して制作されたか、受け手がそう感じたかは別として)
それはやはり、関ヶ原が日本史上初めて日本全国を巻き込んだ大乱であったからでしょう。
それまでは両家、せいぜい地方単位で済んでいた戦の主体が増えたことで、その戦に至るまでのそれぞれの思惑・策謀・駆け引きも増え、必然物語としての密度も濃く。
さらに関ヶ原という要所はあるものの、それ自体への参加・不参加、またそれ以前の武将の動向を描くと地理的にも離れた場所を描く必要があるため、どうしても戦全体を描くには群像劇にならざるを得ないんですよね。
大河ドラマ「真田丸」のように一人の登場人物、一つの家に焦点を絞ると、50秒関ヶ原のようになってしまうわけですから。


関ヶ原編1巻となる今巻もその例に漏れず群像劇と言っていいでしょう。
登場キャラクター108人(ファンタジア文庫ニコ生発表)は伊達じゃない。


備忘録も兼ねて、場面ごとにまとめておきましょうか。
北から順番に。


①越後
上杉景虎VS最上義光

後述の梵天丸の成長が気に食わない最上っちが調子乗って不可侵領域たる越後に手を出そうとしたけど、それを読んでいた上杉謙信が北条家からの人質にして関東管領後継者の上杉景虎にフルボッコにされてどうしよっか…、っていう。

ついに、義姫が梵天丸を褒めました
外伝で語られた伊達親子のことを思うと、本編内では5ページにも満たない義姫のセリフの1つ1つが感動的でした。


②関東
梵天丸率いる奥州関東連合軍VS北条家

武将単位ではなく家単位としてだと唯一西軍=織田家側についた伊達家。
史実では関ヶ原に参加しなかった伊達政宗が、関ヶ原の地にやってこれるのかどうかが関ヶ原編の大きなポイントとなりそうです。

なかなかまとまった話が語られない北条氏康の家族愛・仲間愛が見れたのも嬉しかったです


③武田信玄
今巻のメインパーソン晴信ちゃん。
良晴の助けで運命を乗り越えた信玄に容赦なく襲いかかる死病という形の歴史の揺り戻し。
それを乗り越え、父との、そして散っていった近しい者達の想いを、「瀬田に武田菱を」という夢を叶えることができるのか。
シリーズの中で一番武将たる凛々しさを持つ彼女の、最後の粘りがどこにたどり着くのか。
運命を変えることが、できるのか…?


④清洲城
元康ちゃんと二郎三郎の入れ替わりの真相とそれを計画した本多正信の人生。
信玄が表のメインだとしたら、裏のメインは徳川ですね。
三方ヶ原から設楽原を経て関ヶ原に至るまで、松平家に何があったのかが明かされ、色々合点がいきました。

そしてその入れ替わりの事実と信玄の病の事実を掴んだ五右衛門と妹・石川一宗。
二人の決死の逃走の行方は…。
五右衛門は二つの実を拾えず、本当に死んでしまったのか……?


⑤岐阜城
今巻の信奈軍の行動目標だった岐阜城の信澄の救出。
それは……徳川と武田の結束により、叶うことはありませんでした…。
ういろうを手に高笑いをしていた彼の姿はなく、そこにいたのは一人の立派なもののふでした…。
誰か嘘だと言って…。

信澄の死のシーンとその後の信玄と藤堂高虎の会話を曲解すれば、信澄がまだ生きているという捉え方ができなくもないです。
それを一片の希望として、私は生き続けます…。


良晴が今まで捻じ曲げてきた運命は、道三や弾正のように既に揺り戻しがあったものと、そうじゃないものがありました。
今巻、特に後半ではその揺り戻し、”歴史の修正力”というべきものが一気に織田家を襲っています。
弟殺しという運命、”長良川”という場における親しい者の死。

さらには「関ヶ原の前に信奈(信長)が歴史から退場する」という運命と、「信奈(信長)の天下統一事業を良晴(関白秀吉)が継承する」という運命さえも呼び寄せようとしています。
良晴が藤吉郎のおっさんの代わりであることは、こういう運命をも示唆していたんですね…。
それは今まで一度も考えたことが無かったように思います。
もっと言うならその秀吉でさえ、関ヶ原の前には歴史から退場しているわけですが…。



⑥北陸方面
勝家・犬千代・長秀・半兵衛VS上杉謙信

膠着していた戦線を動かさねばならない事態に。
良晴、ガスパールに続いて未来を見る力を持つ細川藤孝が、亡命先の明から先の将軍足利義輝とともに帰国。
義輝亡命の折から歴史を裏で操っていた細川を見逃せるはずもなく…。
結果として戦力が分断されたうえに、その補填として越後方面からの援軍となるはずだった最上も①のとおりボロボロなため、戦況はだいぶ劣勢。

長秀さんの「ひぎっ!」という悲鳴が聞けたので私はもうこの人生に悔いはありません…!
ナイス勝家


⑦明智十兵衛光秀
間違いなく関ヶ原の行方を一番左右することになるのは彼女。
明智光秀が主君・織田信長を殺した”本能寺の変”と、西軍・小早川秀秋が東軍に寝返ったことで大局が決したという”関ヶ原の戦い”。
戦国時代のその2つの裏切りを、歴史の強制力として利用した細川藤孝の策略が十兵衛ちゃんに容赦なく襲い掛かります。

とうとう壊れてしまった十兵衛ちゃんに、再び光が差すことはあるのか…?


⑧その他
九州からの援軍を率いる官兵衛ちゃんは、小早川隆景の策と偶然の大雨により足止め。
14巻で見せた凛々しさはどこに行ってしまったのかと思うほどいつもの官兵衛ちゃん。
でもその頭のキレは過去最高。

395pで登場したガスパールが切り札と称した「ヤスケ」という少女。
日本人でも南蛮人でもない黒い肌。
史実では「弥助」ってググれば出るんですが、本能寺の変の際にその場にいたくらいにしかめぼしい情報が無いですからね…。

毛利両川は今巻は目立った動きはなし。

光秀の腹心・斎藤利三が援軍を要請した長宗我部元親は、大坂の海で毛利側に捉えられ、東軍として参戦することに。
何しに来たんだ……

描写は無いものの、宗麟ちゃんは弟殺しの運命を乗り越えるため九州で蒲生氏郷と対峙中。
宗麟ちゃんが良晴と共に来ていたら…、と思うとやるせない…。

ガスパール=2周目の良晴説がまた浮上しました。
……やっぱり本当なのか?



ということでして。
現在の地理で言うと北は山形、南は熊本まで本当に日本全土で姫武将たちが己の運命を変えるために戦っています。

誰が運命に抗えて、誰が儚く散っていくのか。
読むその瞬間までわからないだけに17巻以降クライマックスに至るまでの物語が楽しみだけど怖くてしょうがないです…。





ここまで来たら「賤ヶ岳の戦い」イベントは警戒しなくてもいいかな…?
あれ始まったら、よ?




以上!


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春日 みかげ
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