どもー。
デスカイザーです。

『織田信奈の野望』ファンの皆様、お待たせしました。
本編最新刊をようやく読み終えました!


ということで、
今日のラノベ!

織田信奈の野望 全国版17

富士見ファンタジア文庫より
『織田信奈の野望 全国版 17』です。


【あらすじ】

弟・信澄の死。心折れた信奈に迫る東軍。過去最大の窮地でも諦めない良晴の下に、予想外の援軍が現れる!そして―「先輩。死の瞬間まで忘れません。十兵衛は…報われました」毛利軍が迫るなか、信奈を殺す自らの結末を知った光秀が、選び取った未来。それは「運命」に抗う最大の鍵へと変わる。「起死回生の手はあるわ。織田家の窮地が『嘘』ではないからこそ、東軍を釣りあげることはできる!」絶対的に不利な戦況も、歴史という名の「運命」も英雄・織田信奈ならば覆すことができる。良晴はそう信じている。激戦続く、関ヶ原。織田家の反撃は、ここから始まる!



感想:★★★★★

関ヶ原編三部作の中編にあたる全国版17巻。
諸将が関ヶ原に集い、それぞれの立場から苦悩の「決戦前夜」を過ごし、そしてついに開戦した「関ヶ原の戦い」の序盤までを描いた物語になっています。


前巻の感想と同じく勢力ごとに整理しながら感想を書こうと思っていますが、とりあえず最初にこれだけは伝えておきたいと思います。

「ほぼずっと泣きそうだった」



①信奈・光秀・良晴(西軍)

何よりもまず、この3人を1つの勢力としてまとめられることが何よりも嬉しいです。
長かった……本当に長かった…。
「歴史」という運命に踊らされすれ違っていた3人が、最後の最後でお互いを信じ抜くことで「本能寺の変」を回避できたことが、本当に嬉しい。
3人で行われた桃園結義は、シリーズの中でも五本の指に入る名シーンですね!!

……と喜んでいられるのもここまで。
戦局は西軍圧倒的不利な状況なのです…。

不利だけども、良晴の考え方はやっぱり「信奈を勝たせる」ではなく「誰も死なせたくない」なんです。
西軍のお味方だけでなく、東軍についている小早川さんや勝千代ちゃん、さらには名も知らぬ足軽や騎馬隊まで含め関ヶ原に集った20万弱の兵、その全て。

もしかしたらこの良晴の考えは、戦う覚悟を持って集まった兵たちに対する侮辱なのかもしれないし、余計なお世話なのかもしれないです。
ですが、やっぱり未来から来た良晴にとっては、この時代に生き、尚且つあの関ヶ原の戦いに参戦する人たちというのはどうしようもなく尊敬する対象なんですよね。
そういう奴だからこそ、信奈は魔王にならず恋と天下を両方諦めずにここまで来れたし、光秀が裏切りの将となる寸前になるほど惚れてしまったんです。

だから、良晴はそれで良い。
信奈や光秀だけじゃない。
良晴の後ろに陣を構える島津家久。
そんな家久の「死の運命」を徹底的に覆すために九州戦線を離脱してかけつけた島津義弘。
「弟殺し」の運命を乗り越え、信奈の友となるためにこれまた九州戦線を離脱してかけつけた大友宗麟。
頼れる兄のため戦おうとする相良妹軍団。
七難八苦ではなく殿のはぁれむ入りを求めるようになった山中鹿之助。
先祖として、姉として、母として良晴を支える相良義陽。
エトセトラエトセトラ…。

2つの実を1人で両方取るのは、とても難しいことかもしれない。
でも、その頑張りを見ている人がいたら、助けてくれるかもしれない、誰かを呼んでくれるかもしれない、知恵を貸してくれるかもしれない。
だから、すべてが終わるまでは絶対に諦めちゃいけない。
それが、『織田信奈の野望』から、良晴の生き様から学ぶべきこと。

関ヶ原編最後となる18巻は、良晴を彩る花々が美しく咲き乱れ……そして儚く散る定めもまた描かれることになるんでしょうね…。



②毛利両川(東軍)

律儀の毛利を守るため、このまま東軍として良晴と戦うのか。
それとも、心の示すがままに良晴を天下人として推し西軍入りするのか。


武将と私情の間で激しく揺れる小早川さん。
さらには彼女の知る由もないことですが、彼女が陣を敷いた松尾山は史実の関ヶ原では「裏切りの将」が陣を敷いた場。
細川藤孝はこの場の力で光秀に「本能寺の変」を起こさせようとしていたわけですが、その裏切りの運命は光秀から小早川さんへと移ってしまったわけです。

彼女の智謀をもってしても一手も指すことのできない状況。
苦慮の末に選択した「相良軍への総攻撃」。
しかし、その下知をくだそうとする直前に読んだ良晴からの書状に書かれている言葉が……。

小早川さん。三本の矢を、折らないでほしい。お願いだ
(本文365p)


もう……良晴かっこよすぎ………。
自分が死ぬことになるかもしれない、一時的にとはいえ恋仲にあった人と戦うことになるかもしれない。
それでも自分の尊敬した武将で有り続けてほしいという良晴の想い。
こんなのぶつけられたら惚れ直すに決まっとるがな…!

小早川さんの涙は、どちらの決意を意味しているのか…。
良晴VS小早川さんになるにしても、小早川さんVS吉川元春になるにしても、どっちにしてもハンカチが必要となること間違いなし…。




③武田・上杉(東軍)

やっぱり信玄は、信澄を切ってなかった…!!
16巻での信玄と藤堂高虎の会話の意味は、やっぱりそういうことだったんですよ!!

でも信玄本人の死の運命、そのリミットは刻一刻と迫り…。
さらに良晴から届いた伝言の内容は、高坂弾正以外の武田四天王及び双子の真田の死の運命。
なんでこんなにもつらい運命を辿らなければならないのか…!!

信玄は本当の家族とは尽くとつらい別れをしているけれども、家臣団との家族のような絆にはとても恵まれているなぁ、というのを改めて今巻感じました。
今まで感じていたのは主に山本勘助との絆だったけれども、それと同じものを四天王とも分け合っていれたというのは、信玄の生涯の中でも本当に大事な要素だったんじゃないかと思います。
戦の趨勢を決める戦力という意味でも、絆に飢えた年相応の女の子としても。


でもだからこそ、信玄と共に四天王が死んでしまうような結末は見たくない。
そして、欲を言うならばIFの親友として、上杉謙信が武田信玄の死に間に合ってほしい。

謙信の信玄愛は時空を越える(迫真)



④官兵衛ちゃん軍(西軍)

主人公は遅れてやってるくのだ!(ちょちょーん!)

とばかりに最高のタイミングで関ヶ原入りを果たした黒官一流さん。
西国無双・立花宗茂 VS 東国無双・本多忠勝
という世紀の名勝負を実現させただけでなく、道中でもとある助っ人を確保してのご到着。

その助っ人の名は。
お市、改め浅井長政


官兵衛の言うところの「人の和」、それをこの作品でもっとも表しているのはまさしく彼女でしょう。
2巻での初登場時には良晴をはじめ織田家と対立していた長政がそういう立場にいるのは、今振り返ってみるととても不思議です…。
当時は真逆も真逆なスタンスだったのになぁ…。

この本通して、長政の登場シーンが一番泣きそうでした。
視界が滲みかけていたくらいには危なかった…。



⑤和ませ's(梵天丸、長宗我部元親)

梵天丸 VS 真田十勇士 !!

戦国の片隅でひっそりと行われていた異能バトル!
勝つのは南蛮の邪気眼か、それとも戦国最後の異能集団か……!?

……みたいなことがあったとか無かったとか。
猫は正義。異論は認めない。
ところで梵天丸とか氏郷ちゃんは関ヶ原に間に合いそうもないんですが、やっぱりここにも「歴史」の強制力が…!?



長宗我部元親 VS 小早川隆景

大坂の某所で行われていた壮絶な舌戦!
勝つのは土佐の姫若子(ひめわこ)か、それとも毛利の智将か……!?

……智将の圧勝だったそうな。
長宗我部元親が東軍につくことになった「成り行き」の部分は今回のエピソードで明かされたけれども、彼女が関ヶ原の鍵を握るとはどういうことなのか…。
やっぱりあの布陣に意味があるとするならば……小早川さんの決断はあっちか?



⑥北陸方面軍(西軍)

良晴・光秀・信奈が「らしい」ところにやっと戻ったのとは対照的に、徹底的に「らしくない」方向に転がったのが北陸方面軍の半兵衛・勝家・犬千代・長秀。

半兵衛の知略は、上杉謙信の前に初めて完全に破られ。
勝家の無鉄砲突撃主義は、作戦上の最適解として与えられ。
犬千代は信澄の死の悲しみからういろうを食べることができず。
長秀さんは(別行動中の田辺城で)採点する余裕すらも失い…。


大局的に見て良い方向に向かい始めている西軍だけれども、綻びが生まれるとしたら北陸方面軍が対応していた上杉謙信が関ヶ原に来るところなんですよね。
何せ、信玄が信澄を討ち取ったことで義将・上杉謙信が信玄と共に上洛を目指す口実が無くなった……と関ヶ原に集っている誰もがそう思っているわけですから。
逆になりふり構わず突っ込んできているだなんて、半兵衛が予想できず誰が予想できようか。




⑦今川義元

度々引き合いに出される、全ての始まり「桶狭間の戦い」。
敗者でありながらのうのうと生き、名目上とはいえついには天下分け目の戦の大将になるまでに。
あの行動を見ているとついつい忘れてしまいますが……彼女も立派な姫将軍なんですよね。

六角承禎との言い合いの中で放った言葉は、おそらく1巻からの彼女の全ての言葉の中で一番本心に近い言葉でしょう。
特に「義元ちゃんといえど絶対こうは思っている」と確信していた部分が言葉になっていたので、ある意味嬉しかったし、ますます義元ちゃんのことが好きになりました!
その言葉は、

わらわが、恥辱も後悔も悲しみも感じられぬうつけとお思いか!太原雪斎に『生きよ、生きて幸福を掴め』と教えられていなければ、この、わらわとて……!かつては何度、暗澹たる思いに囚われて泣き濡れたことか……!

(本文358p)

桶狭間の地で「死にたくありませんわ!」と泣いていた彼女の、本当の思いはここにあったんですよ!
教えに従い、生きて、生きて、今の立場に。
彼女の強さは本物ですよ。
ちょっと抜けてるように見える時があるだけで…。





あとがきでも触れられているように、今巻のテーマは「言葉の力」。

誰かから誰かに伝えられた言葉が人を動かし。
伝えられた言葉を胸に今を生きる人がいて。
誰かに言葉を伝えるために今必死に駆ける人がいる。


あとはその言葉の力が、歴史の強制力にどこまで立ち向かえるのか、です。
関ヶ原編最終巻、その行く末を決めるのは、良晴から言葉を託された小早川さん。
どっちを選ぶのか……。



……ところで、関ヶ原編最終巻になる次巻は『織田信奈の野望』シリーズ本編の最終巻にもなってしまう…んでしょうかね…?
それともここから幕府編に、あるいは世界編に……?




以上!