今日のラノベ!


読者と主人公と二人のこれから

電撃文庫より
『読者と主人公と二人のこれから』です。


【あらすじ】

この物語さえあれば、他に何もいらない。この小説『十四歳』と、その中に確かに息づく主人公、トキコがいれば―。だが、彼女は俺の前に現れた。灰色の毎日の始まりになるはずだった、新学年のホームルーム。黒板の前に立った彼女こそは、俺が手にした物語の中にいたはずの「トキコ」だった。物語の中にいる「トキコ」と、目の前にいる「柊時子」のあいだで、奇妙に絡まってゆく想い。出会うはずがなかった読者と主人公の物語。その結末に、あるものは―。



感想:★★★★★

今まさに恋をしている人に読んで欲しい一冊。




『十四歳』の読者・細野くんと、『十四歳』の主人公・トキコ/柊時子が紡ぐ、新たな物語のお話。
(以下『十四歳』のほうをトキコ、柊時子を柊さんとします)


細野くんが共感していたのと同じように、私自身も『十四歳』のトキコの考えには共感することが多かったです。
その時点で作品に入り込むことは出来ていました。
共感していたトキコの考えと実際に同じ考えをする柊さんにドキドキしたり、後半の少しずつトキコと柊さんのイメージがずれていくことに焦りを感じたり。
『十四歳』を通じてトキコ/柊さんという「二人の同一人物」の間で感情を揺り動かされ続ける細野くんのリアリティが、ひとつこの作品の魅力だったと思います。



そのうえで。
トキコではなく、柊さんに対して抱いた細野くんの恋心への共感が最大の魅力だったと思います!
『読者と主人公~』っていうタイトルからは少し離れますけどね!

たとえば137・138p。

“―俺はただ、柊のそばにいたかっただけなのだ。
助けたい、幸せになって欲しい、そういう気持ちも無かったとは言わない。けれど、それ以上に俺はただ「そばにいるメリット」を彼女に見せたかったのだ。”


細野くんの助け舟にお礼を述べた柊さんの言葉を受けての細野くんの内心。
もう、ね。分かりすぎてつらいです。
一般的に言う「良い格好を見せたい」とは少し違うんですよ。
頑張った姿を彼女に認めてもらいたいんじゃなく、自然に傍にいるだけで、一緒にいるだけで自分はあなたを幸せにできるっていうことを示したいっていうことなんですよ。

自分に自信が無い人が恋するとそういう方向に行くんでしょうか…?



本当は細野くんが恋心を淡く感じ始めたあたりからエピローグまでの全てに解説を入れたいくらいなんですが、あまりにも共感しすぎて恥ずかしいので割愛します…。

恋未満の感情を持て余し。
恋をしていることを自覚し。
相手はどう思っているんだろう?と考え不安になり。
相手の気持ちが分からずすれ違ってしまったり。

そんな恋模様が綴られています。
そういうわけで冒頭にも書きましたが、今まさに恋をしている人に読んでもらいたいのです。
読んで、相手に気持ちを伝えていないなら伝えるためにどうしたらいいか考えてほしいし、実っているなら自分たち二人がどういう足跡をたどってきたのか振り返ってほしいです。






そういえばこの作品。
エピローグ中にあった『十五歳』の逆サイドと言えるのかもしれませんね。





(最後ににしおぎFMネタにニヤッとしたことをご報告いたします)


以上!



読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)
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