どもー。
デスカイザーです。


発売情報をまとめてすらいないので、何を買ったら良いのかも分からぬ状況。
非常にまずいです…。

ひとまずはHJ、スニーカーの新作が豊作なのでそれを消化しつつ『信奈』最新刊を待つ感じになるのかなぁ、と。




今日のラノベ!

あのねこのまちあのねこのまち

講談社ラノベ文庫より
『あのねこのまちあのねこのまち 壱』です。



【あらすじ】

駅では電車が素通りし、地図にあるのにたどり着けない町、夕霧町。びっしりと生えた大根が道を塞ぎ、地蔵が抜け道を教えてくれるこの町には、一匹の猫がいた―。ポルターガイスト現象に悩む高校生・墨染幸一は、たまたま夕霧駅に降り立ち、相談屋を営む少女・フミと出会う。彼女の店にはいつもフシギな相談が。影が消えたり、角が生えたり…。「私は何でも解決出来るからね」と笑うフミに振り回され、幸一もおかしな町を駆け回る!ヒトもアヤカシも恋も呪いもハッピーエンドにするために!!しかし、やがて幸一は知る。のんきに茶をすする彼女の、あくびに隠れた哀しい祈りを―。とっても愉快でちょっぴり切ない、脱力系お悩み解決ファンタジー!



感想:★★★★☆

第6回講談社ラノベチャレンジカップ大賞受賞作!!


あのねこのまちあのねこのまち
     ↓    ↓ 
あのね この町 あの 猫の町


というタイトルからも分かる不思議系物語。
二章までの雰囲気は和製不思議の国のアリス、みたいな印象でした。
……言うて「不思議 迷い込む」くらいしかアリス要素無いけれども!

猫又のフミが、のほほ~んとしながらも依頼者のために力を尽くす。
そんな、あたたかいおはなし。
主人公が世話を焼き、世話焼きの世話を焼きにフミの友人が来て、その中心でフミがにこにこゴロニャンしてるような。
まさに表紙から想像した通りの物語。


そこから一転する後半、三章以降はあたたかさが「あたたかい」という一面だけじゃないことを教えてくれる物語。
低音やけどのような。
依頼者の求めることを叶えるのがハッピーなのか、依頼者の求めを退けてでも別の解決策を探すのがハッピーなのか。
読み終わった今だからこそ、そのどちらでもないと言うべきなのかなぁ、と思います。

フミとイネおばあちゃんの時は、イネおばあちゃんの生きる理由を求める心と、フミのおばあちゃんにとにかく生きていてほしいという心が相反してしまったが故の結末で。
もしかしたらイネおばあちゃんが寿命を永らえさせることで新しい生きる理由が生まれたかもしれない。
フミの選択にはそういう未来もたしかにあったでしょう。
でも一方でその理由が生まれるまでに数多の苦痛が待っていたかもしれない、見つからないかもしれない。
失敗とまでは言わなくても、そんな未来があったかもしれません。
そしてイネおばあちゃんが選んだのは、そんな未来をまとめて捨てる、本来の死の運命に逆らわないこと。



東さんと鬼の時は、東さんの生き続けたくないという気持ちと、愛する”人”にとにかく生きていてほしいという鬼の気持ちが相反した結果の相談で。
「大切な人を亡くす」という経験が発端だったからこそ、愛する人に同じ思いをして欲しくないという気持ちが働くのは自明だったかもしれません。
が、フミには自分の過去が強く重なってしまい…。



フミがイネおばあちゃんを亡くした時の悲しみは、それこそトラウマになるほど。
「依頼者を笑顔にするため」ではなく、「みんなを笑顔にする」というフミの行動原理さえも見失ってしまうほど。
東さんを殺したら、鬼が悲しむのはフミが一番良くわかっているのに……。




主人公がポルターガイストを父のものだと頑なに認めなかったり、
好きな女の子と目線を合わせられなかったり。

素直になれない人を素直にすることは比較的簡単かもしれませんが、

半身とも言える存在の死を受け生きる理由を失った少女や、
のぞまぬ生を与えられた死を望む少女に死を与える猫又みたいに、

素直な人の意見を翻させるのは生半可な苦労でできることじゃないのかもしれません。





そんな難しいことを考えるよりも先にフミのYシャツに終始興奮していたなんてそんな





以上!


あのねこのまちあのねこのまち 壱 (講談社ラノベ文庫)
紫野 一歩
講談社 (2017-08-02)
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