今日のラノベ!


始まりの魔法使い 2

始まりの魔法使い 2
言葉の時代

著者:
石之宮カント

イラスト:
ファルまろ

レーベル:
富士見ファンタジア文庫


【あらすじ】

竜歴509年。将来の食糧危機を見据え、“私”は新たに農耕と牧畜を始めることを決めた。とはいえ、異世界の動植物に知見がない“私”は、その方法を他種族から学ぶべく、人魚や半人半狼、蜥蜴人の留学生を迎えることに。しかし、価値観の異なる生徒たちとの授業は困難の連続だった!そして、“私”が留学生を世界中から集めたもう一つの理由、それは魔法学校を有名にすることだった。いつか、“彼女”がこの場所に迷わずに戻れるように。―「でも、今はいないじゃない」剣部の一族の少女・ユウキの赤い瞳が真っ直ぐに“私”を映し出す。これは、すべての“始まり”を創った竜の魔法使いの物語。




感想:★★★★★

鼠ショックとユウキショックのダブルパンチですね!



1話タイトル「ゆっくりとした破滅」

38p“かつての人はホモ・サピエンスを除いて全て滅んでしまった”

11話タイトル下「第三次世界大戦にどんな兵器が使われるかはわからない。
          だが、第四次大戦なら分かる。石と棍棒だ」
          アルベルト・アインシュタイン


歴史の過程に滅びの足音は付き物とはいえ、2巻でこれだけ滅びを示唆されるとは思わなかったです。
緩やかな停滞は破滅の入口。
先生の魔法学校、村づくりがどれだけ困難な道なのかを再認識させられました…。


特に鼠。
鼠の驚異が出るまでは「他種族と協力関係を結ぶ」「他種族を支配下に置く(=野生動物の家畜化)」という友好・支配関係を前提としたものだったので、すっかり敵対という道が念頭から抜け落ちていました。
それだけにショックが大きくてですね…。
竜や魔法っていう強大な力が手元にあったからこそ襲われる可能性を考えていませんでしたが、滅びの最も分かりやすい理由って言われてみれば外敵ですね。

この話、平和に慣れきった現代日本だから通じているもので、外国とか、あるいは近い将来戦争・紛争が起きている時代だったら成立すらしないのかもしれませんね。
一番面白いところが「え?何をいまさら?」ってなりそうで。

歴史が積み重なるということは、守るべきものが増えるということ。
先生はどこまでを許容して、どこからを諦めるんでしょうね?







一転、ユウキの話。

224p“ずっと変わらず、変わり続けた”っていうのがユウキを表す適当な言葉かな、と思います。


登場当初の、子どもの時の純真さをずーっと持ち続けていて。
大好きな先生に褒めてもらえるのが嬉しくて。
大好きな先生とずーっと一緒にいたいと思い続けて。

でも、そのずーっとは、ただの人間である自分には不可能で。
思いとは裏腹に体は成長して、老い、身体の滅びへと少しずつ近づいていく…

しかし諦めず、
有記として、記憶を通して先生とずっと居る、居続けると決めた執念。
不可能を可能へと変えてしまったその愛情。


変わらないために変わり続ける姿は、尊敬の念に堪えません。





アイ=愛に続いての、ユウキ=有記

ひとつひとつの言葉に込められた意味がほかの作品よりも強く濃い所がこの作品の見所であることを、改めて認識させられましたね…!
そうなってくると……ニーナは…?





以上!



始まりの魔法使い2 言葉の時代 (ファンタジア文庫)
石之宮 カント
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