どもー。
デスカイザーです。


「ここまで溜めたら今やっても後でやっても変わらないだろ!」
ってことで、読み終わったのが新しい順に感想を投稿していこうかと思います。
新鮮な感想は新鮮なうちに、熟成させてしまった作品は更に熟成を重ね味を出せる……出るかなぁ…。




今日のラノベ!



この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と!

この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と!

著者:
水樹尋

イラスト:
2C=がろあ

レーベル:
講談社ラノベ文庫


【あらすじ】

勇気を出して告白し、豪快に砕け散った僕の前に突然現れたのは、パンツをはいていない金髪の美少女。彼女は世紀末にあらわれるはずだった「恐怖の大王」の魂を探している天使だという。けど、そんなことより早くパンツはいて!スカート、たくしあげないで!そしてそんな僕たちを見下ろすもう一人の桃色の髪の美少女。彼女はちゃんとはいている様子なので、ひと安心…と思ったらおしりから生えているのは尻尾…え?キミは悪魔??しかも「恐怖の大王」の正体が、××だって?!だからキミも、なんで脱ぐのさ!?第1回講談社ラノベ文庫新人賞佳作受賞作。




感想:★★★★☆

引越しの片付けの一貫で本棚を整理していた時に見つけました。
ラノベ文庫の『このすば』こと『この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と!』。
『湯けむり温泉郷まほろばの非日常~おんせん部活動日和~』で僕の中ではお馴染みの水樹尋先生のデビュー作ですね!
2012年2月刊行なので……5年半前!


天使のセラフ、悪魔のベリアルが、主人公・一樹の中に眠る大王様の魂をめぐって対立しているというのが物語の基本。
死後の幸せが確約されているとはいえ、天使に無邪気に命を狙われ悪魔に罵倒されながら命を救われるという構図そのものに一樹の不幸っぷりが凝縮されています…(笑)



基本的に世界の法則とか起承転結とか文脈とかを無視するタイプの無邪気さを発揮するセラフがとてもいい味を出してました!
天使の頭の輪っかを蛍光灯で代用して、代用できちゃったあたりで考えることをやめたよね!
54pでの出来事です……。

そして、天使がかき乱す?ひっくり返す?のを丁寧に積み直そうと真面目に頑張るのがベリアルちゃん。
たまに暴走するけど。純真だもの。
恐怖の大王が復活しても(理由はしっかり付けた上で)人類の敵にまわらないので、あまり悪魔してないです。
そして純真です。
どれくらい純真かというと、

Q:恋人になって最初にすることは?

A:交換日記


ってくらい純真です。
大王も思わずダメだしです。
でも、可愛いのでOKです。
155pくらいの大魔王とのやり取りなんですが、1冊通して1番好きなシーンだったりします。





タイトル『この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と!』にはちょっと引っかかってました。

この素晴らしく不幸で幸せな世界「と」僕と、であって、
この素晴らしく不幸で幸せな世界「で」僕と、でないことに。

下だったら、一樹がセラフやベリアルと共に、あるいはクラスメイトの姫ちゃんや大王様なんかも一緒に、不幸体質だけど幸せに生きるんだ!的なビジョンが見えるわけですよ。
でも今作は上で、世界と僕=主人公が並列に置かれているわけで。
最初読んだときは正直ちんぷんかんぷんでした。
『わたしとことりとすずと』的な何かかと。


やっとのことで解釈が出来たのが終盤、大王様と戦うシーン。

「僕」が命を差し出せば「世界」に少しでも希望がある。
素晴らしく不幸で幸せな「世界」で「僕」が生きることを諦めれば、もしかしたら。


この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と、天秤にかけるなら世界を選ぶ。


それが一樹の選択でした。
でもセラフとベリアルからしてみれば、少なからず好意を寄せていた相手がそんな考えから大王様に殺されてしまったわけです。
セラフも途中からは死後の幸せではなく現世での幸せを実現させてあげようと頑張っていたのに。


この素晴らしく不幸で幸せな世界と彼とを天秤にかけるなんて、本人だろうと大王だろうと許さない。


セラフはここまでず~~~~っとぽけーっとした雰囲気を漂わせていましたし、ベリアルは一樹を守っていたのはあくまでも大王様の魂のためでしたし。
矢印が全然別の方向向いていたのに、急にギュンッと一樹に向いたことに痺れました。

最終的なオチをまとめるならば、再び一樹のもとに封印された大王様へのメッセージという形で、


この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と、ともに。



というような感じでしょうか!
人の願いは自分勝手でわがままで、争いが絶えず、分かり合おうとしないようなものばかりだけど、それだけじゃないんだよ?と。
だからここで見守っていて?と囁きかけるような一樹のメッセージであり祈りです。




今巻では何とも言えない端役感ただようクラスメイトの姫ちゃんの今後の動向に注目です。
一応、一樹の好きな子だしね?

あとどうでもいいけど、サキュバスでもないのに胸に逆ハートマークつけてるベリアルににじり寄って赤面フィーバーさせたい!



以上!



この素晴らしく不幸で幸せな世界と僕と! (講談社ラノベ文庫)
水樹 尋
講談社 (2012-02-02)
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