今日のラノベ!


異世界駅舎の喫茶店 小さな魔女と記憶のタルト

宝島社より
『異世界駅舎の喫茶店 小さな魔女と記憶のタルト』です。


【あらすじ】

異世界にある鉄道の終着駅、ハーパータウン駅の名物は喫茶店『ツバメ』。ここでしか食べられない絶品料理を求めて今日も駅舎は大繁盛、マスターのタクミと看板娘のニャーチは大忙し。このお店の料理の魅力は、美味しいだけじゃない。『ツバメ』の料理は、大切な思い出と繋がっているのです。仲良しな掃除屋の二人組が、故郷の味を巡って「赤いスープ」と「透明なスープ」で大喧嘩!?国の本部からハーパータウン駅に派遣されてきたちょっと生意気な新人は、おばあちゃんが作るサツマイモとカボチャの料理が苦手な様子。収穫祭でニャーチが出会った身寄りのない幼い少女は、お母さんが昔作ってくれた大切な記憶の味があるようで…。今日も『ツバメ』は、新しい出会いと大切な思い出を作ります。



感想:★★★★★

今回もほっこり幸せ気分です♫



今回はズバリ「愛」がテーマでしょうか!
……って意気揚々と書くつもりが思いっきりあとがきでSwind先生自ら仰られていて、合ってて嬉しいやら恥ずかしいやら。
折角なのでちょーっと逸らして「パートナー」という面で切り取ってみましょう!


まずは何といってもタクミとニャーチ
タクミだけだと静かになりすぎるところをニャーチが適度に引っ掻き回し、ニャーチだけだと収集がつかなくなるところをタクミが以心伝心で収める。
あちらの世界とこちらの世界ではニャーチの姿も人格もまるで違うという話ですが、それが信じられないほどお互いを知り尽くしている感があって、まさに理想の夫婦っ!って感じです!
背中つかまれてうにゃ~~~ってなってるの最高に可愛いです。



リベルトとソフィアのふたりも良いですよねー。
今はまだ仕事の大事なパートナーですが、ここから先は……?
リベルトの着実な攻め手に対してソフィアはまだ真意に気づいていない様子ですが、当初「私にも選ぶ権利が~」と言っていたのに比べたら相当軟化しているように思います。
リベルトが彼の最大の武器である「紳士的な態度」を捨てた時こそ、ソフィアの心が陥落するときじゃないでしょうか?
サンドイッチを食べたいと目を輝かせていた時の新しいもの好きな一面は、ソフィアの貪欲な好奇心との相性が抜群ですからね!



仕事でのパートナーと言えばもう1組、ロランドとフィデルも外せませんね!
お互いに「相手には負けたくない!」と思っていて、なおかつ「あいつはすごい奴」だと尊敬し合っていて。
常に憎まれ口を叩いているのに、どちらかが真剣な空気になったらすぐにそれを察知できるほどお互いをよく分かっている親友。
新キャラ・ルナちゃんの無垢な仲裁がなければ絶対にお互い認めませんが、喧嘩するほど何とやら。
異世界料理を自力で発明してしまうふたりの力が、今後どんな展開を迎えるのかすごく楽しみです。
……リベルトとの面識もあるわけですし?(期待)



個人と個人という枠組みからは外れますが、お店の人とお客様というのもお互い大事なパートナー。
どんな向き合い方が正解かは場所や職、そしてお客様一人一人によって違うもの。
タクミをはじめとするこの作品の大人たちは、皆お客様への対応が理想的でとても参考になります。
やっぱり言葉づかいとか「気づき」の頻度なのかなぁ……。
新人駅員として今回登場したテオは、周りと比べると劣って見えてしまいますが普通はこんなものだと思います。
まだまだポカを無くすには程遠い彼ですが、一歩一歩成長して、お客様の良きパートナーとなる日を心待ちにしたいです。



他にもまだまだパートナーとして取り上げたい組み合わせはありますが、キリがないので一旦この辺で。
以下読書メモ。





~memo~


26p:ヴルスト+麺=?

  鉄板ナポリタンが来ないんじゃ!!


ヴルストの入っていないトマト風味のナポリタンは出てきましたが……やはり完全体を作れるまで提供しないという拘りなのでしょうかっ!?
カルボナーラは出てくるのに鉄板ナポリタンが出てこないっていうのは、タクミの拘りじゃなかったら何者かの陰謀しかないですね。
ある意味この作品で一番心待ちにしているかもしれないです。鉄板ナポリタン。

名古屋生まれの「素材屋」という居酒屋でつまみとして食べて以来、鉄板ナポリタンにだだハマリしているラノベブロガーことdeskyzerでした。
締めましたが続きます。



30p:壺、蓋、藁
⇒“壺”に入れた氷を溶かさないようにしていた“蓋”が“藁”ということにほほぅ、となったので。
調べてみたら、冬場湖に張った氷なんかを藁やおがくずで包んで洞窟などで保存するということが昔から行われていたようで、これはその応用みたいなものみたいですね。
気化熱で周囲より温度が低くなる……?理科は分かりません!

タクミの言っていた冷蔵箱・氷式冷蔵庫についてもついでに。
1803年にアメリカのトマス・ムーアにより発明され、日本でも明治以降氷による食物の冷蔵保管が普及していったそう。
冷たい空気は下に、暖かい空気は上に、というくらいの理科ならdeskyzerにも分かりますo(・`∀´・)
ちなみに日本での人口製氷の始まりは福沢諭吉の熱病に対応するべく、福井藩主・松平春嶽侯の元にあった製氷機を借り受け諭吉の塾生が作ったものが最初なのだそうです。
今作1巻でも夏風邪のお客様に氷を出している描写がありましたねー!

冷蔵箱は、いわゆる三種の神器としての電気式冷蔵庫が登場する昭和30年頃まで、つまり今から60年ほど前までは用いられていたというのだから驚きです。
やっぱり幕末から現在までの文明発展スピードはおかしいですよ……。




41p:アガール
⇒海藻から出来ていてゼラチン質といえば寒天かな?
と思って調べてみたら大当たりだったので、嬉しかったです(小学生並みの感想)



46p:ピーニャ
⇒『GATE 自衛隊彼の地にて斯く戦えり』のピニャ殿下の名前の由来がピニャコラーダであることは何となく察していましたが、その「ピニャ」が何を指すのかまでは……調べなかったですよねー。
お酒は好きですがカクテルを呑むようなシャレオツな場所にあまり行かないので(そもそも好きなお酒が焼酎と日本酒って時点で……ねぇ?)、呑んだこともなかったわけです。

なるほど、パイナポーでしたか

どうでもいいですが、今手元にあるのはストロングゼロのまるごとアセロラ味です



47p:ヘラティーナ
⇒これは全く見当つかなかったんですが、なるほどゼリーでしたか。

今巻はタクミが向こうの世界に馴染んできたからか、あるいはタクミがこちらの世界の食べ物に例えるのにも限界があったのか分かりませんが、食材ルビなしが幾つかありました。
それを予想して調べて一喜一憂するという新たな楽しみがあって、面白かったです!



102p:朝ごはん
⇒揚げ鯖のトルティーヤ、かき揚げ、アクアパッツァ……
漁師一家の朝ごはんは、一般人には重すぎます……
でもたまにはこういう朝ごはんも食べてみたいですね!
体調を万全に整えた上で、その日1日の体調をリリースする覚悟で。



5章:好き
⇒『小さな魔女と記憶のタルト』のサブタイトルストーリーですね。
普段温厚な駅長やタクミが本気で怒り、持てる力を全て使ってルナを救おうと動く様子は見習いたいものです。
そういう状況が起きないことがもちろんベストですが、そういう状況に直面してしまった時に見て見ぬふりをしないというのはなかなかに難しいことです。
ちょうど最近話題になっている常磐線車内での出産に関しても、妊婦さんへの的外れな批判、メディアや居合わせた心無い乗客による撮影・取材への批判とマイナス方向ばかりに加速していきますが、何より私たち外野が言うべきは「出産を手助けした、たまたま居合わせた方への賛辞」だと思うんですが、違うでしょうか?

声を出せずに助けを求める人に気づき寄り添う勇気。
このお話ではそれをニャーチが自然に成しています。
タルトを食べてルナが涙するシーンも感動しましたが、それ以上に「最初の一声」を躊躇わなかったニャーチに最大限の賛辞を送りたいです。
そして同時に自分もかくありたいと思いました。
(自分が助けられない人に手を差し伸べかけ、糠喜びさせてしまう場合もあるというのは重々承知の上で)

大人によって苦しい世界に置かれたルナが、大人の尽力で優しい世界に帰ってきたこと。
マンサナの甘酸っぱい味わい。
ストーリーも、そこから得る教訓も、料理も含めてこの章は大好きです。



161p:寝起き
⇒ニャーチの寝起き芸は卑怯だと思います!
どう転んでも可愛いじゃないですかこんなの!!

ごちそうさまです





~memo~


仕事仲間としてロランドやテオがいて、さらには家族としてルナまで来て。
あちらの世界の一員として過ごすしかない……とまでは言いませんが、「ある程度」以上の責任を持たなければならなくなったことで、タクミの考えはひとつ前向きになったようです。
それがあちらの世界にどんな革命を起こしていくのか。
ソフィアやリベルトはますます忙しくなっていくでしょうし、テオやロランドの他にも従業員が増えていくかもしれません。
ソフィアが何回かこぼしていた支店計画も、例えば人手不足が解消されたらロランドが任されちゃったりするかもしれませんし。
食材の開発、保存・調理技術の発明によりあちらとこちらの食文化がどんどん融合していくのを見ていると「次はどんな料理が出るんだろう!」とワクワクします。
鉄板ナポリタンはよ!

出来ることなら末永くこの少し変わった異世界生活を見守りたいものです。







以上!


参考文献
・Wikipedia「冷蔵箱」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%B7%E8%94%B5%E7%AE%B1

・探検コム「製氷・冷凍・冷蔵庫の歴史」
http://www.tanken.com/reizo.html




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Swind
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