デスカイザーのラノベ日誌

ライトノベルの感想を……綴るっ!

カテゴリ: 電撃文庫

今日のラノベ!

新約とある魔術の禁書目録 17

電撃文庫より
『新約 とある魔術の禁書目録 17』です。


【あらすじ】

大熱波が去り、復旧モードの学園都市。上里翔流帰還を信じる『上里勢力』の少女たちが、自由気ままに暴れ回る!追跡のエキスパート『辿り屋』絵恋、直接戦闘を得意とする変幻自在の海賊少女の流華、ネットを駆使して大衆を操る幽霊小女の冥亞…。木原唯一に『右手』を盾にされ、上条当麻抹殺を命じられた彼女達だが、その芯は変わらない。想い人を取り戻す。その信念ゆえに突き進む。全てを賭して襲い来る少女達から逃走する上条。味方は、『上里勢力』からたった一人ついてきたUFO少女・府蘭だけだった。この劣勢状況下こそ、彼の真髄が発揮される時。さあ、上里翔流を救え。彼女達の哀しい暴走を止め、この争いに終止符を打つために。



感想:★★★★☆

書いたと思い込んでいた感想が書かれていなかった案件の発生です。
しかも『禁書目録』。
感想も何も、まず内容の把握に努めるところから始めなきゃいけない作品でコレはやばいです…。
なので、短めに。

以上、言い訳です。




府蘭ちゃん編ですが美琴編でもありー?



上里を助けるために上里勢力からの逃避行。
科学捜査のスペシャリストや嗅覚の発達した子をはじめ、なんでもない普通の男子高校生の周りに集ったありとあらゆるジャンルが集結した彼女たちから逃げるのはただでさえ困難。
冒頭で同胞の府蘭が無理というのだから、土台無理な話なんですよ。
でも、逃げる過程で助けられる人を助けていく上条さんは、やっぱり流石の上条さん。
シリーズ通してのテーマはここで回収。

逆に営巣部隊(ユースフルスパイダー)は、上里勢力前後からの「ヒーローは上条に限らない」というテーマの回収ですかね。
ウェイトはここ何冊かで一番軽めですが、確実に触れられていることからもその重要性が伺えます。
上里自体が「普通」を譲らないですからね。
一件落着した後の上里勢力の会話も、内容は物騒なのに教室で会話するくらいの気楽さを感じたのは、上里がただの高校生であったことを暗に証明しているかのようで。

逆に上条さんたちの会話は、同年齢が喋っていても不思議と学生同士というよりは仲間同士での会話に感じるんですよね。
じゃあ上条さんが「普通」ではなく「特別」かと言われるとそうでもなく、踏み出すか踏み出せるかは個人差あれど、目の前で誰かが苦しんでいたら誰も彼もが手を差し伸べることを考える。それを躊躇なく踏み出せるのが上条さんというだけで、やはり上条さんも普通の高校生。
そう、ちょっと科学だとか魔術だとかのジャンルの境界線に敏感な立ち位置にいるからその差をはっきりさせて一方を特別扱いしがちなだけで、学園都市にいたら最先端の科学技術を享受するのが「普通」であって、イギリス清教の中枢に近い人間ならば魔術に浸る生活が「普通」なのでしょう。「普通」の尺度が人・場所・環境に左右されるとても不確かなものであることを意識して私たちは生きていかなければならないのです!



何の話だ!!


……でも最近の禁書の読後は大体こういうことを考えています

むつかしいことはたくさんだ





美琴が上条さんと二人で僧正から逃げていた時に感じていた周回遅れの感覚、今回彼女は気づいていませんでしたがやはりありましたね。
顔も名前もしらない他人の悪意に怒りを覚えるシーンは、上条さんがかつて通った道。
故に上条さんは美琴を励ましながらも激情に駆られることはなく、静かに宥め、解決策を提示することができた……のだと思います。
だってあのシーン、すごく上条さんらしくないんですもん。
いつもだったら上里勢力や木原との問題が無ければこんなことにはなかった巻き込んで済まない、くらいのことは考えていそうなのに、頭なでながら大丈夫だ俺が何とかする……ってかっこよいなおい!!

そのあと雷撃の槍をぶち込まれたところで、いつもの上条さんだと安心しましたが。





で、ラストの土御門と府蘭ちゃんのタッグですよ!!!!
アレイスターがほいほい地上に出てきてるからそろそろ土御門来るかなー?と思ったら本当に来たにゃー!
科学と魔術を両方扱い、イギリス清教からのスパイで、右手の周囲に現れた二人。
他の小説だったらキャラ被りなんて御法度でしょうが、トータル40冊も出ていれば逆に無印時代のスパイと新約時代のスパイの共演!とここまで熱くなるんですね!

作品内部時間で言うとまだ5ヶ月経ってないですがね!!!!!!

我々が気づかない分にはしょうがないけど、上条さんは気づいても良い。







今こそこの言葉を。

次回、VS アレイスター。

科学と魔術が交差するとき、物語は始まる。




以上!



新約 とある魔術の禁書目録(17) (電撃文庫)
鎌池 和馬
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売り上げランキング: 86,845

どもー。
デスカイザーです。



引越しと同時に風邪をひき、ようやく治りかけです…。
片付けも一段落したので、今日からブログも再開です!
(実に最後の感想から1ヶ月以上…。申し訳ございませんでしたー!)
感想待ちが20冊近くあるので、1ヶ月近くはあまり間を空けずに更新できると……思います。




それでは、今日のラノベ!

ラノベ作家になりたくて震える。

電撃文庫より
『ラノベ作家になりたくて震える。』です。



【あらすじ】

ラノベ作家志望の高校生・冬野藍介はある日、自分の作品が何者かに盗作され、新人賞を受賞したことを知る。ショックを受ける藍介にクラスメイトの元天才子役・鮎原睡蓮はこう打ち明ける。「実はね、この作者はね、わたし、なの」「…はい?」「お願い。二巻を書くのを手伝って!」「…は?」睡蓮の言葉に混乱し、怒りを爆発させる藍介であったが、結局睡蓮のムチャ振りを渋々引き受けることになり…。そして徐々に距離を縮めるふたり。しかしその先に、本当の衝撃が藍介を待ち受けているのであった…!?



感想:★★★★☆


『彼女は遺伝子組み換え系』
の嵯峨伊緒先生の新作です!
待ってました!!



口癖でキャラを魅力的に見せるという前作の良い所は今作でもしっかり引き継がれていました。
睡蓮ちゃんの「ふゃ」「めえめえ」と、睡蓮ちゃんの友達の氷緒菜の「ん」ですね。
34pで初めて「ふゃ」が出た時の、心が震える感覚は忘れることが無いでしょう…。



これは革命ですよ革命!



「ふゃ」ってたった2文字の文字列なのに今まで見たこと無い並びな気がしますし、それがまた睡蓮ちゃんのふわ~っとした雰囲気にピッタリですし。
実際に声に出してみるとどう発音してるのか分からないというか恐らく3次元でこれ言われたらイラッとしそうなものですが、読んでる間、睡蓮ちゃんが発しているものとなると素直に「ふゃ」という声が聞こえてきます。
「めえめえ」も同じですしというかそういえば!
「ふゃ」は語尾小文字ですが、「めえめえ」だったり「~だよお」だったりは語尾大文字なんですよね。
可愛く見せるのなら一見全て語尾小文字に統一しそうなものですが……「めぇめぇ」「~だよぉ」……あ、うん、違いますね!なんか一気にギャルっぽいというか、元気な子を連想する雰囲気になりましたね!
さすがという他に無いです本当に。





ストーリーは若干ストレスが溜まったかなぁ、というのが正直なところです。
主人公・藍介の原稿を少しだけ書き直して応募したという睡蓮ちゃん。
藍介は後半で気づくまでずっと「少しだけ書き直しただけなら自分の作品」という認識を持ち続けていて、これが睡蓮ちゃんとの決定的な齟齬を生むわけですが。
読む側からしたら結構序盤に気づいてしまうわけですし、そもそもの前提として少しでも書き直しているなら別の作品、あるいは別のバージョンだろ!と。

ただ、藍介くんが恐らく王道好きで、言われたことを真に受けるタイプで、とても自分の気持ちに素直なタイプということをふまえると納得です。
それにこの素直で荒削りな感性が、睡蓮ちゃんの演技で身につけた繊細な表現力と合わさったらとても面白い作品になることは間違いない(実際受賞しているわけですし)ですから、結局はあのストレス感があったからこその良作だったと思います!!
藍介くんのそういう部分は、ライバル作家の晴ちゃんがズバッと指摘してくれているので溜まり続けたというわけでもないですしね?




嵯峨伊緒先生には、また新たなキャラの魅力の見せ方(文字列編)を見せて欲しいです!
あと水着は黒でお願いします。


以上!



ラノベ作家になりたくて震える。 (電撃文庫)
嵯峨 伊緒
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どもー。
お昼ご飯が賞味期限を過ぎたもののみで構成されていたデスカイザーです。
腐肉を食らう時は近い(アンデッド族)



今日のラノベ!

14

電撃文庫より
『ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った?Lv.14』です。


【あらすじ】

残念!ついに知られてしまいました!残念美少女・アコの存在が―よりにもよって、英騎のお母さんに!そして案の定「今度連れてきなさいな」と言われてしまった英騎。西村家の全権を掌握するお母さんを前に英騎は無力だった。なんとかアコをまともな彼女に偽装するために特訓を始めるネトゲ部だったが、ハードルはあまりに高く険しくて…果たしてアコはお義母さん面接を乗り越えることができるのか?それともやっぱり危ない子扱い?アレイキャッツ結成二周年記念オフ会だって結婚記念日だってあるのに、いったいどうしたら…!?残念で楽しい日常≒ネトゲライフ、三者面談の第14弾!



感想:★★★★★

他人に自分を良く見せたいってことはよくあると思うんです。
仕事であっても、友達付きあいであっても。
ましてやそれが夫……恋人…の親であるなら尚更。

でも結局ボロが出るんだから諦めなさい?(CV.シューちゃん)っていうのが今回のお話ですね!
なおかつアコだし。
今まで1年間夫婦であることを譲らず、決して恋人に落ち着こうとはしなかったアコが今さら「英騎さんと健全なお付き合いを」なんてできるわけが無かった。


でもアコもアコなら、ルシアンのお母さんも凄かったですね…。
想定問答メモ集を見るアコと、想定問答の台本を見るルシアンのお母さんの会話のシーンはシリーズ屈指の謎空間でした(笑)
なぜそれで会話が成立す……それは会話なのか?

そういえばルシアンも「親に紹介」っていうイベントに動転しているからか、アコの結婚発言を「……って言っちゃうくらい良い関係を築けているんだよ」みたいな方向に持っていくことなく、結婚を正当化する方向に頑張ってましたね…。
ここ数巻の例に漏れず「リアルとゲームは別」っていうシリーズ当初の命題がここでも半分否定される形になりました。







第1回オフ会とは逆のシチュだった2周年オフ会の集合シーンも良かったです!
今巻ではアコが声を掛けられてビクゥッってなってたけど、1巻読み返してみたらルシアンも声を掛けられたタイミングで「うわっ」って驚きの声を上げてるんですよ。
はは、愛い奴らめ。




【今回のルシアン・シューちゃん】

シューちゃんが隣に座るルシアンの腕をクイクイッってするシーン。
及びその後のルシアンの「気安い感じの瀬川がちょっと嬉しかった」という言葉。

最高です。
ありがとうございました。






次巻はいよいよ新婚旅行もとい修学旅行!……かな?
果たしてネトゲ部の面々はネトゲをできるのか!?
置いていかれるマスターの運命は!?




以上!

ネトゲの嫁は女の子じゃないと思った? Lv.14 (電撃文庫)
聴猫 芝居
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今日のラノベ!


読者と主人公と二人のこれから

電撃文庫より
『読者と主人公と二人のこれから』です。


【あらすじ】

この物語さえあれば、他に何もいらない。この小説『十四歳』と、その中に確かに息づく主人公、トキコがいれば―。だが、彼女は俺の前に現れた。灰色の毎日の始まりになるはずだった、新学年のホームルーム。黒板の前に立った彼女こそは、俺が手にした物語の中にいたはずの「トキコ」だった。物語の中にいる「トキコ」と、目の前にいる「柊時子」のあいだで、奇妙に絡まってゆく想い。出会うはずがなかった読者と主人公の物語。その結末に、あるものは―。



感想:★★★★★

今まさに恋をしている人に読んで欲しい一冊。




『十四歳』の読者・細野くんと、『十四歳』の主人公・トキコ/柊時子が紡ぐ、新たな物語のお話。
(以下『十四歳』のほうをトキコ、柊時子を柊さんとします)


細野くんが共感していたのと同じように、私自身も『十四歳』のトキコの考えには共感することが多かったです。
その時点で作品に入り込むことは出来ていました。
共感していたトキコの考えと実際に同じ考えをする柊さんにドキドキしたり、後半の少しずつトキコと柊さんのイメージがずれていくことに焦りを感じたり。
『十四歳』を通じてトキコ/柊さんという「二人の同一人物」の間で感情を揺り動かされ続ける細野くんのリアリティが、ひとつこの作品の魅力だったと思います。



そのうえで。
トキコではなく、柊さんに対して抱いた細野くんの恋心への共感が最大の魅力だったと思います!
『読者と主人公~』っていうタイトルからは少し離れますけどね!

たとえば137・138p。

“―俺はただ、柊のそばにいたかっただけなのだ。
助けたい、幸せになって欲しい、そういう気持ちも無かったとは言わない。けれど、それ以上に俺はただ「そばにいるメリット」を彼女に見せたかったのだ。”


細野くんの助け舟にお礼を述べた柊さんの言葉を受けての細野くんの内心。
もう、ね。分かりすぎてつらいです。
一般的に言う「良い格好を見せたい」とは少し違うんですよ。
頑張った姿を彼女に認めてもらいたいんじゃなく、自然に傍にいるだけで、一緒にいるだけで自分はあなたを幸せにできるっていうことを示したいっていうことなんですよ。

自分に自信が無い人が恋するとそういう方向に行くんでしょうか…?



本当は細野くんが恋心を淡く感じ始めたあたりからエピローグまでの全てに解説を入れたいくらいなんですが、あまりにも共感しすぎて恥ずかしいので割愛します…。

恋未満の感情を持て余し。
恋をしていることを自覚し。
相手はどう思っているんだろう?と考え不安になり。
相手の気持ちが分からずすれ違ってしまったり。

そんな恋模様が綴られています。
そういうわけで冒頭にも書きましたが、今まさに恋をしている人に読んでもらいたいのです。
読んで、相手に気持ちを伝えていないなら伝えるためにどうしたらいいか考えてほしいし、実っているなら自分たち二人がどういう足跡をたどってきたのか振り返ってほしいです。






そういえばこの作品。
エピローグ中にあった『十五歳』の逆サイドと言えるのかもしれませんね。





(最後ににしおぎFMネタにニヤッとしたことをご報告いたします)


以上!



読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)
岬 鷺宮
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どもー。
デスカイザーです。



幸せを態度で示すと言われ、パンパンと手を叩くのはなぜなのか。
童謡って奥が深い…。



今日のラノベ!

賭博師は祈らない

電撃文庫より
『賭博師は祈らない』です。


【あらすじ】

十八世紀末、ロンドン。賭場での失敗から、手に余る大金を得てしまった若き賭博師ラザルスが、仕方なく購入させられた商品。―それは、奴隷の少女だった。喉を焼かれ声を失い、感情を失い、どんな扱いを受けようが決して逆らうことなく、主人の性的な欲求を満たすためだけに調教された少女リーラ。そんなリーラを放り出すわけにもいかず、ラザルスは教育を施しながら彼女をメイドとして雇うことに。慣れない触れ合いに戸惑いながらも、二人は次第に想い通わせていくが…。やがて訪れるのは二人を引き裂く悲劇。そして男は奴隷の少女を護るため、一世一代のギャンブルに挑む。第23回電撃小説大賞・金賞受賞作!



感想:★★★★★

今年の電撃小説大賞もすごいのが出てきましたねー!
今のところ2017年で一番面白いと思った作品です。




いつも小金だけ稼いでいくというスタイルから「ペニー・カインド」のあだ名を持つ賭博師・ラザルスと、「大勝ちする」という失敗を帳消しにするために賭場から購入した奴隷で喉を焼かれている少女・リーラの物語。

良いと思ったポイントは、
①リアリティ
②口癖
③ジョン
④コイン
の4点ですね。



①リアリティは間違いなく狙って作られたもので、ついついラザルスという賭博師が実在して有名な記録が残っていると錯覚してしまうほどの精度。
あとがきにもある通りジョンやフランセスのような実在した人物を多少手を加えて登場させているという点はもちろん、メイド服の興りやテムズ川の汚染状況のような民俗学や地理歴史に分類される点においても非常に優れています。

その一方で時折入る作品世界の時間軸以降の情報が、この作品がフィクションであることを思い出させてくれました。
263pのヴァンテアンという賭博のことを説明する「フランスで生まれたこの賭博は十九世紀に入り急速にイギリス国内で広がりを見せ、二十世紀初頭になってアメリカで名前がこう変わった。ブラックジャックである。」という文章が良い例ですね。

ラザルスへの過度な感情移入は防ぎつつ、一方で作品世界にはどっぷり浸からせる。
読者を賭場の観戦者にするような表現だな、と感じました。




②ラザルスの口癖「どうでもいい」。
一言なのに、対応するシチュエーションにより存外多くの情報をくれる言葉ですね…。
108pで知った知り合いの賭博師の死の前後では重みが全く違うものになりますし、苦笑いしながらだったり吐き捨てるようにだったり言い方を変えれば事細かに描写するよりも分かりやすく感情が分かりますし。

さらに、「どうでもいい」と言いながらも実はしっかり考えているということ自体が、ラザルスをより賭博師らしくしているような気がします。
ポーカーフェイスのためのルーティーンのような。
興味ない風を装いながら計算することで相手を出し抜くような。

『C3 -シーキューブ-』のいんちょーさんの口癖「馬鹿げている」に似たものを感じます。
あちらも感情表現を含めていて、策士のようなところもあるので。



③ジョンがカッコ良すぎるんですよっ!!!!
脳も筋肉で出来ている系のキャラかと思いきや、性格イケメンだし要所で物凄く良い事言うし!
特に250p、攫われたリーナをダラダラ言い訳並べて取り戻しに行く決心を固めないラザルスに対して放った「お前がやりたいという以上に、やるべき理由が必要か!」の一言。
響きます……。

考えてみれば、拳闘を衰退させないために暗黙の了解以外のルールを制定しようとし、そのためにはと不利を承知で自分が勝手にそのルールに従って闘うような人。
他人を想い、自分を発露することことそが彼の人生
もしかしなくても作中で最もまともな人間はジョンなのかもしれません…。




④Twitterで大絶賛すると宣言した理由であるコインの仕掛け。
200pくらいまで読んだところで「ラザルスのコインが両面とも表で、それがオチだったらどんなに痺れるだろう」と想像していたんですよ。
賭博師ならイカサマ用の小道具(四五六賽みたいな)は誰でも持っているとか、コインを見た神父さんが微妙な表情をしたとか、それまでのコイントスが全部表だったとか、フラグはあったので。

そしたら本当に両面表だったし、最後の最後337pで明かされたし、何より「リーラに関する選択肢を提示した後、リーラにコインを手渡し、仕掛けに気づいたリーラが喜ぶ」という想像していた中で一番望んでいたものだったし!!!
フラグに気づいていなかったらもう1度読み返したくなること間違い無しな仕掛けでした!

種明かしの時にラザルスが言っていた「困ったときにやるべき事は、いつもあらかじめ決まっているのさ」というセリフはこれだけでも痺れますが、同じセリフを冒頭16pでコイントスする際にも言っているということがまた痺れに拍車をかけます。
賭博師の必須三箇条、勝たない・負けないに続く『祈らない』の由来ともとれますし。
状況的に「リーラを買う」ではなく「奴隷を買う」なんだけど、ラザルスがこういう仕掛けをやっていたから2人が出会ったわけですし。
教会でも救出前でも旅行前でも、リーラに関することでコイントスする時、ラザルスは既にリーラを自分の元に置いておくことを決めていたと言うことですよ?
萌えるなというほうが無理だ!




そんなこんなで色んな要素が混じり合い、取り憑かれたように読んでしまう作品でした。
上に挙げた以外にもリーラが声を出せないということを最大限に生かした展開だったり、ニリツ先生の美麗でシーンに合った雰囲気を使い分けたイラストだったりも引き込まれた理由でしょう。

周藤蓮先生、今後要チェックですね。




以上!


賭博師は祈らない (電撃文庫)
周藤 蓮
KADOKAWA (2017-03-10)
売り上げランキング: 1,805

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