カテゴリ: その他の文庫レーベル

今日のラノベ!



高崎グラフィティ

高崎グラフィティ。

著者:
古宮九時

イラスト:
とろっち

レーベル:
メディアワークス文庫


【あらすじ】

 故郷を捨てれば、私たちは強くなれるでしょうか――。
 東京まで新幹線で約一時間。不自由はなく、あえて越える必要のない“一時間の境界線”に囲まれた街、高崎。地元に閉塞感を覚える美紀は、専門学校に通うため上京する日を控えていた。しかし高校卒業の日、父親が入学金未納のまま突然失踪。優斗ら幼馴染四人と共に父親捜しを始めるが、彼らにも秘密があって……。
 第1回未完成映画予告編大賞グランプリ受賞。将来、恋、家族に悩む若者を痛切に描く、話題の感動作を小説化!





感想:★★★★★




どもー!
デスカイザーです!

という自己主張から始めまして。
待ちに待っていた古宮九時先生の新作です!
しかも、第1回未完成映画予告編大賞グランプリ受賞作を基に制作された映画のノベライズ!

8/18から高崎で先行上映、8/25から全国で公開です!!
映画公式サイトはこちら




※未完成映画予告編大賞とは……「ある地域(任意のエリア)を舞台にした「3分以内の予告編映像」」を制作・エントリーして競われる映像コンテスト。未完成映画予告編大賞公式HPより引用




高校を卒業した日から入学・入社するまでの僅かな期間。
何者でもなく何者にもなる可能性を持った5人の少年少女が、夢を見て現実を見て、そして改めて自らの夢を再確認していく物語。


5人それぞれ抱えている事情は全く違うんですが、しかし「将来について行き詰まっている」という点では共通します。
高校を卒業した解放感と、広大な世界に放り出された孤独感が綯交ぜになった感覚。
故に、それまで集まったことのない5人がそれぞれに親身になり、それぞれの想いに触れ、怒り、励まし。
高校という青春の終わり、そして新しい世界の始まりに輝く彼女らの姿は明けの明星のようで。
面白かったです!!






「こんな青春してみたかった」と言うにはそれぞれの事情が重いんですが(汗)、不思議と共感している自分もいます。
『純真を歌え、トラヴィアータ』でも感じた、覚えがないのに経験したことがあると確信するあの感覚ですね。
なんでしょう……?んー、でもやっぱり少し違いますね……
『トラヴィアータ』は走っている途中に限界を感じて歩いたけど再び走り出す話で、『グラフィティ』は走り続けているんだけど目的地が(何なら次の一歩でさえも)分からない話、みたいな。






事情の重さに付随して、締めはやや強引というか「このあとどうするの!?」的な部分はあります。
優斗とか絶対ヤバいじゃないですか……
あと美紀の父も……
いや、マジで優斗は真っ先に高崎出るべきですって……!
1時間の境界線とか家業とか気にしている場合じゃないですって……!!





タイトルの「。」がエモいです。
5人にとって高校生活の終わりであり、美紀たち東京へ行く組にとってはこの輝かしい2日間が高崎での(ひとまずは)最後の思い出となり。
文が終わるということは、次の文の始まりがあるということであり。
なんか、そういうことですよ。うん。






読書メモ





8p:白い観音像
⇒そういえば市役所裏から烏川挟んでの山の上に観音像ありましたねー!
地元……というほど近くはないですが、大船観音も山の上の白い観音様なのでそういう文化なのかな?と思った記憶があります。



15p:脱字?
⇒6行目「ってか、東京行くと美紀すごいねー
一瞬方言かと思いましたが「か」抜けっぽいですね。



24p:満開の桜
⇒ほんと高崎市役所裏の桜、すごい綺麗だったんですよー!




102p:知らなかったこと
⇒卒業しそれぞれの道を歩もうとする今だからこそ知れたことなのか、それとも自分が知ろうとしなかったから知らなかったことなのか、あるいはその両方か。
しかし、形や大きさは違えど胸に抱えていた空虚さは同じ。

この空虚さがこの作品の1つの軸ですね。
例えば美紀は、高崎で一生を終える生活に漠然と感じる空虚さを変えることと、服飾に関わる仕事という夢が合わさり東京へ向かうことを決意。
直樹は、自分が何も持たない空虚な人間だと自覚しているからこそ、お調子者というピエロ役を演じてクラスに溶け込む。
他の3人もまたそれぞれの空虚さを抱えていて、いや、多分作中の他のキャラやもしかしたら私たちも日々こうした空虚さを持っていて、それを埋めるために趣味なり夢なりに逃げているのかもしれません。
……なんか無駄に思考が深い。



103p:水切り
⇒大雨の後とかでなければ、土手から川面ギリギリまで下りることができます。
そう、私も旅行中に川まで下りました!
そしてテンションのままに水切りして……人生初のぎっくり腰ですよ……



110p:表紙のシーン!
⇒こういう演出あると疾走感のある青春!って感じがします!!
フィーリングです。



まとめ




最後にもう1つ。







あとがきに名前が載ってます!!!
「デスカイザー様」って!!!







経緯!
3月末に友人2人と高崎に小旅行していたんですよ。
で、「高崎なうー!」みたいなツイートを呟いていたら、古宮先生から「高崎の写真たくさんください」とご連絡をいただきまして。
そもそもノープランの旅行だったので、駅の写真撮ったり、大通り沿いに歩いてみたり、市役所の裏の桜と川を眺めたり。
そんな道中の写真を送りまくっていたら……これですよ……!
Twitterってすごい……

もし高校卒業直後の自分に声を掛けられるなら、
「将来あとがきに名前載るから、今のうちにHN変えとけ」
って伝えたいです……
多分言われても当時の私なら変えないですけど……




貴重な経験、ありがとうございました!





そんな経緯があっての読書だったので、そりゃ面白いに決まってます。
面白いに決まってますが、この経緯が無かったとしても同じ言葉を発していたであろうことは想像に難くないですね!
感情を揺さぶられ、考えさせられ、ドキドキして!!
すごく良かったです!!!


……徹夜明けで読んでいたので、今度もう1回じっくり読み返してみようと思います。




以上!




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どもー!
デスカイザーです。


W杯(ベルギー×チュニジア戦)を見ながら更新しております。
今回のW杯は、強豪国が軒並み苦しんでいる状態で、ほとんど前評判通りの試合がないような状況。
なので一戦一戦がベリー エキサイティングですヽ(・∀・)ノ

普段は日本戦しか見ないですが、今回は他の国の試合もついつい見てしまいます……!
おかげで6月下旬の新刊大攻勢が全然消化できません!!
本当にもう……本当にもう……!!


少しずつ時間を見つけてたくさん読みたいです(≧ο≦)




では、今日のラノベ!

××管理しないで、後輩さん


××管理しないで、後輩アライさん
最強Sデレ少女と恋をしよう

著者:
伊藤ヒロ

イラスト:
sune

レーベル:
美少女文庫


【あらすじ】

 先輩を《射精管理》してあげます!
 後輩、新居薫子は僕専用のいじめっ子。からかわれ、貞操帯を嵌められ、僕の××は完全管理へ。挑発されても自慰禁止。童貞喪失は襲われ騎乗位で!
 狂気の寸止めと究極の搾精快感の果て、僕は彼女のことしか考えられない!
 最強Sデレ・アライさんと恋しよう!





感想:★★★★☆



生まれたてのシマウマみたいに“なよなよ”してる先輩・乾小太郎。
そんな乾先輩専用のいじめっ子として君臨しながら意外と抜けてる猫みたいな後輩・新居さん。
ふたりの、秘密の、射精管理生活。







わたくし個人としてはドM属性は無い……はずなんですが、今作を読んでいる間は新居さん専用のいじめられっ子として没入することに何ら抵抗ありませんでした。
普段は軽い言葉使いなのに急に低い声で脅し、躊躇なく罵声を浴びせてくる新居さんに開発されるような。
悦びと呼ぶにはまだ淡い、でも微かにゾクゾクするような。
破瓜の血を隠しきれていないとか、パンツのシミを隠しきれていないとか、そういう「管理側」として見せるべきではない隙がチラチラあることへの萌え感情とは別の感情が確かにあるんですよね……
困った……少し開発されてしまっている……





ラブコメとして見るならやや狂気寄り
あるいは好きな子につい悪戯しちゃう小学生心理?
乾先輩を前にしたときの捕食者としての顔と、乾先輩が目の前からいなくなった時に魅せる新居後輩の普通に乙女している顔。
そのギャップがとても可愛くて、それはどちらの顔にもプラス補正をかけてくれていましたね!
良いよー!




今ラノベ界隈でもっとも新しくもっともエロいイラストを描くsune先生のイラストも、本文を加速させていきます……!
253pの感情を忘れた表情で涙をこぼす新居さんが特に好きです!
美少女文庫だけでなくエロ系レーベルの挿絵で、こうしたエロじゃない挿絵が来たときの注目度は高いですよねー!
エッチなイラストを押しのけて載せただけの意味があるわけですから!
感情が静かに決壊する新居さんのこの表情と、直後から始まる徹底的な調教シーン。
その感情の流れが素晴らしく好きです……!




ただ、ラストの数プレイの内容に関してはドM属性が覚醒しないまま没入し続けた結果、エラーを起こしてしまった感じですね……。
ドン引きとも言う。
没入していなければ陶酔感に浸っている新居さんに興奮することが出来たのかもしれませんが……、
性癖の未覚醒はしょうがない。
ドMに目覚めたらまた読み直すことにしましょう。
きっとその時ここに広がるは楽園エデンだ。












余談ですが、今回乾くんに微かな好意を寄せ無残に散ったクラスメイトで陸上部の石田花凛さんが大好きなのでスピンオフ待ってます!
傷心に漬け込まれてめちゃくちゃにされちゃう系のサムシング。
この作品に対して男女逆転のドM調教ものですね。
探せば似たような作品はノクターンにありそうですが……
それでも石田さんで読みたいんじゃ……





読書メモはゼロだったので無し。



性癖との誤差が少し痛い結果になりましたが、それでも作品としては十分以上に楽しめました!
プロローグで少しゾクゾクしたあの感覚は忘れたほうがいいのか、覚醒させていくべきなのか判断に迷いますが。


それでは、全国3000万人の美少女文庫ファンの皆様。
また来月の美少女文庫で会いましょう。


以上!



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どもー
デスカイザーです!


久々に連動企画に参加(というか主犯)したので、楽しかったです!

【連動企画』 #あなたの好きなラノベアニソン 

こちらから是非ご覧下さいませ。


文量的に上の記事からは外しましたが、エッチなラノベ枠のアニソンなら……

『だから僕はHができない』のOP「Reason why XXX」ですね!!

佐咲紗花さんと言えば『日常』のED「zzz」がデビュー。
なので、完全に意表を突かれた形でのこのハイパーアップテンポな曲でしたねー!
音程が激しく上下するので慣れるまで大変ですが、掴めればカラオケでめっちゃ楽しいですよ!




……という流れで美少女文庫いきます!
今日のラノベ!

狐に嫁入り

狐に嫁入り
九尾の玉藻様と新婚生活

著者:
ほんじょう山羊

イラスト:
竹花ノート

レーベル:
美少女文庫


【あらすじ】

「お主はワシの嫁なのじゃ!」親から捨てられた僕を嫁にしてくれた玉藻様。「まぐわう姿を撮影するのじゃ」動画投稿者をめざしたり。「でぇと、したいのじゃ」ロリなボディに搾られて。
九尾の狐巫女に振り回される新婚生活。……僕を家族にしてくれてありがとう。
最後の儀式、僕は玉藻様に捧げられる。




感想:★★★★☆





終わりの始まりからの物語




生まれた時から兄・春夏への両親の賞賛の言葉をひたすらに聞き、自分には一切そういった言葉をかけてもらえなかった主人公の九条秋冬。
それもそのはず。
九条の初代が神社に封ずる狐巫女・玉藻への贄として捧げられることが、産まれた瞬間から確定していたのですから……








という物語背景からはじまる、玉藻様とのイチャラブ新婚生活!可愛い!
某バーチャルのじゃろり狐娘youtuberおじさんとは関係ありませんが、youtuberネタもございます!可愛い!
最低でも百年、ひょっとしたらそれ以上かもしれない神社の外の世界に興奮する玉藻様!可愛い!
餃子!ビール!美少女!ップハー




可愛いだけではございません





エッチだ……、とついつい呟いてしまうエッチな手管も備えております!
長年の贄からの吸精で培われた性技もさることながら、凄まじいのはネット知識の吸収力!
あれやこれやと探しては再現し、秋冬を性的に追い詰めていきます……
すばらしい……





しかし!


玉藻様はある目的をもっていたのです……

ネタバレは読書メモで触れますが、本来の計画と芽生えた想いの狭間で揺れる玉藻様と、そこから導き出された衝撃的なラストシーンがそれまでの雰囲気と全く違う印象を与えてきてですね……
衝撃的でした。
表紙の親しみやすい感じも、このギャップを狙ったものなのでしょう……
策士だ……美少女文庫さん策士だ……



ラストにかけてもう少し濃かったらなぁ、という思いは多少あります。
楽しめる分のギャップは十分あるんですが、あるからこそより上を求めたくなりました。
ネタばらしまでもう2ページほどあったら個人的にはベストだったのかしら……?






ではネタバレ解禁の読書メモ


読書メモ




54p:家族
⇒人生で初めて家族として認識してもらえた喜びに泣いてしまう秋冬と、それにオロオロしてしまう玉藻さまのシーン。
尊大な態度だった玉藻さまのギャップが良かったのでメモしていましたが、思えばこのシーンから既に玉藻様の計画は頓挫しかかっていたのかもしれません……
想定していた異常に懐かれてしまったこと。
そして秋冬が自分と似たような立場にあったこと。
これを察したうえで尚「それでも秋冬は九条の人間」と割り切れる玉藻様ではなかったようです。
よきかな。



152p:打ち震えてくれた
⇒使用人根性が染み付いちゃっているというか、どこまでいっても「自分の行動にプラスの反応をしてくれること」に対しての喜びが付きまとうんですよね、秋冬。
この物語に至るまでの人生に同情するのを止められないですし、そんな人生の先に玉藻様と出会えることが確定していたという事実が本人にとって幸せだったのか、そうでなかったのか。
答えは秋冬のみぞ知る。



161p:道具
⇒54pのメモでフライングして喋っちゃいましたが、九条の人間に道具として扱われていた秋冬の境遇と、九条の繁栄のために社に封じられてきた自分の立場に似通った部分を玉藻様が感じるシーンです。
頓挫しかけていた計画が、決定的にダメになった瞬間はココなんじゃないでしょうか。
この後お粥を作る時に、玉藻様がどんなことを考えていたのかとても気になります……



188p:御城ぷ……
⇒全然、全く、これっぽっちも、一切、本編と関係ありませんが、ここで唐突に「御城プロジェクト:RE~CASTLE DEFENCE~」の公式twitter千狐のアカウントへのリンクを張っておきますね!

千狐(城プロRE公式アカウント)

より詳細を知りたい方向けのピクシブ百科事典はこちら

繰り返しになりますが、本編とは一切関係ございませんので、ご了承くださいませ!



303p:断る
⇒秋冬が贄として玉藻様に食べられてしまうか、玉藻様が九条当主の命令に背き消えるかという究極の二択。
「どうするんだろう……」とドキドキ推理する間もなく拒絶の一言、そして瞬く間に消滅の光に包まれる玉藻様……
テンポ良く階段を降りていたら高さが他の倍くらいある段に気づかず、踏み外してすっ転び落ちたくらいの急転直下感でした……
え……え……え……しか言えない機械になってしまったのもしょうがない。





まとめ




そんな急転直下に見舞われましたが、最終的にはハッピーエンドで良かったです!!
……本当によがっだよぅ…………
秋冬があのままの人生を辿り最後は贄で終わるか最愛の人を失うかだなんてあんまりですもん……本当によがっだ……



以上!




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どもー!
デスカイザーです!


家の中で猫と追いかけっこしていたら、ラノベが詰まったダンボールに躓いて盛大にコケました!
ぶつけた膝より、その衝撃が伝わった股関節が重傷です!
皆様も、猫と追いかけっこする際は周りに気をつけましょう!



それでは。
今日のラノベ!


ガチャ運ゼロの最強勇者


ガチャ運ゼロの最強勇者

著者:
天草白

イラスト:
ぴず

レーベル:
ブレイブ文庫


【あらすじ】

 主人公・ジークはある日、神によって世界を救う勇者に指名される。「ガチャ」の力を手に入れて、強い武器を召喚だ!と思いきや、ガチャはなかなか当たらず……。ガチャを回すために、ナビゲーターの天使・ササラと雑用をこなす毎日。気づけば3年が経過していた。でも、そんな毎日が愛おしくて、こんな生活もいいかなって。……なんて思っていたら急にSSRを引き当てて!?
 ガチャから始まる冒険ありバトルあり恋愛ありの爽快痛快ファンタジー!




感想:★★★★☆




更なる進化に期待を込めて、★4で。




ガチャをテーマにした勇者ものでありながら異世界転生ものじゃない、というそれだけで手放しで褒めちぎりたいです!

物欲センサーやピックアップなどガチャにまつわるあるあるネタを数多く詰め込みつつ、こちらの世界のソシャゲとは明確に線を引いてくれていたので、共感はあるんですが認識は「ファンタジー世界の召喚システム」の域に留まっていました。
すごく良い!



「クリスタルを使わずにガチャを引ける。ただし引いたアイテムにより指定されたクエストのクリアが必須条件」というガチャの設定と、SSRを引くまでに3年かかったというリアルな年月がまた良かったポイントですね。
上記前半部のガチャ制限に関しては、本当に無限に引けてしまったらそれこそ只の異世界チートにしかならないのでね……。
世界観におけるパワーバランス……ようなメタい理由では無いにしろ、無課金ならではの苦労みたいなものがふんわり詰まっていたのかな……

上記後半部の年月に関しては、本格的な冒険が始まってからのジークとサラサの阿吽の呼吸を無茶に感じさせない設定だったと思います。
特に物語終盤で、武器と共に現れ絆を結んだ仲間たちに対して嫉妬のような感情を持った場面に関しては、この長年共に過ごしてきたという前提がうまいこと感情を増幅させてくれていました!
表紙のサラサに一目惚れして購入決定したので、この他のヒロインから一歩抜きん出た正ヒロイン感は最高でした……!!





一方、全体的にもう少し起伏が欲しかったかなぁ、という物足りなさもあります。

確かに、サラサ以外の3人の武器ヒロインに対して見せる勇者としての魅力みたいな部分は少しずつ違ってはいるんです。



フィーナには典型的な「強大な魔族を打ち払う者」として。

マリーベルには「無差別に人を助ける者」として。

リルには「弱者に手を差し伸べ勇気を与える者」として。




それぞれ違った魅力に惹かれて勇者の傍に居たいと考えるようにはなっているんですが、悲しきかな1エピソードあたりの掘り下げがやや物足りない感じがありました。
特にマリーベルは、ジークと出会うまでの経験から勇者を毛嫌いしていたにも関わらず「村が救われる」という点が強く働きかけたのか、割とあっさりジークに靡いちゃったなぁという印象。
もう少し……もう少しだけでも好きになるのを堪えてくれたらもっと尊いヒロインになっていたでしょう……

その「もう少し」の分が物足りなさの正体なのかなと思います。
シャトルバスを乗り継ぐ山登りのような、景色は楽しいけど労力はもう少しかけたい……みたいな感覚の読後でした。






以下、細かいところの感想を込めた読書メモ。



読書メモ




4p:唯一立ち向かえる者たち
⇒意味的に間違ってはいないのに文章的に矛盾してるのが面白いです……
ほんとそれだけのメモですね。



7p:キス
⇒それは無かろうて!それは無かろうて!
って思わず口絵見て思いましたが、冷静になってもう一度見ると……やっぱりそれは無かろうて!
絶対その勢いと態勢は歯がごっちんするやつだよ!!



157p:四人分の足音
⇒ジーク、サラサ、フィーナ、マリーベル、そしてリル。
…………あれ。
サラサは天使だけど翼無いから浮いてない……よね……
唐突に始まるホラー……



243p:五分
⇒ストロンガーの名乗りでさえ1分ちょっとなのに、5分も待ってくれる魔王って以外と空気読む良い奴なのでは……!



246p:エクスカリバー
⇒EX(仮)棒 ←早口で

おもしろい





まとめ




『ボクが乙女でひとり占め』以来の天草白先生作品で、それを読んだのがラノベに本格的に傾倒しだして間もない頃だったので、読んでて懐かしく感じる部分がありました。
何年も前なので文章の癖を覚えていたとかではありませんが、あの頃の新鮮に楽しんでいた気持ちを思い出させる何かが……あったんでしょう。
その結果感想のとっ散らかり方もかつてのものに戻っている気がするのは気のせいです。気のせいです。


サラサが本当の意味で胸を張ってジークの仲間だと言えるようになるまで読みたいですね!
次巻も楽しみです!




以上!


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今日のラノベ!



バビロンⅢ-終-

バビロンⅢ -終-

著者:
野﨑まど

イラスト:
ざいん

レーベル:
講談社タイガ


【あらすじ】

日本の“新域”で発令された、自死の権利を認める「自殺法」。その静かな熱波は世界中に伝播した。新法に追随する都市が次々に出現し、自殺者が急増。揺れる米国で、各国首脳が生と死について語り合うG7が開催される!人類の命運を握る会議に忍び寄る“最悪の女”曲世の影。彼女の前に正崎が立ちはだかるとき、世界の終わりを告げる銃声が響く。超才が描く予測不可能な未来




感想:★★★★★




えー、末恐ろしいことにアニメ化決定してしまいました……

文章でさえ劇薬なのに、それをイラストにして動かして声を付けてしまおうというんですから、恐ろしいことを考える人が居たものです。
1巻のあのシーンとかあのシーン、2巻の衝撃のあのシーンとかBPO的に大丈夫なんですかね……?
わたしはしらないぞ!!

TVアニメ「バビロン」公式サイト





ということで劇薬第3巻。
これまでと趣向が変わり、主人公格として動くのはアメリカ大統領・アレックス。

世界中に広がった“自殺法”の影響。
それぞれ自国内で自殺法推進の動きが始まっているG7の首脳が、この問題に対してどんな答えを出すのか。
また、首脳という肩書きを横に置いた一個人としてなら、どう答えるのか。
それが今巻の見所でした。




正崎善は「正義について考えつづけること」を正義としながら、曲瀬愛や自殺法についての判断では感情が主導権を握る場面が多かったように思います。
知り合いが次々と自殺、殺害されているんですから当事者意識が働いて当然です。

一方、今巻のアレックスにとってはまだ“対岸の火事”。
(興味を持って考えたい事案であると同時に)考えなければならない立場にあるとはいえ、その判断基準は感情とは切り離され、理知的に導かれるもの。
他の首脳陣についても同様で、それぞれのお国柄、宗教的背景、成り立ちなどを踏まえて多くの意見が交わされていました。


読者として「自殺法についてどう思うか」という意見をまとめるのは(当事者意識が無いこともあって)とても難しいんですが、今巻で各国首脳がそれぞれの意見を並べてみせたことで分かりやすく選ぶことができるようになりました。
今後の正﨑と曲瀬の対立において間違いなく軸となる「善と悪」についても同様に意見が交わされています。
そういう意味で今巻は解説回と言っても良いかもしれません。

劇薬取り扱い説明書












あー…………

でも、やっぱり、薄々分かっちゃいたけど……

そういう終わり方ですよね…………











以下、ネタバレが少し濃くなる読書メモ




読書メモ




29p:知恵と死
⇒禁断の果実を食べたことで人は知恵を得て、同時に死が付きまとうようになった。
極論「死ぬことこそが生きること」とも捉えられ、そう考えると自殺法の存在にも意味が見いだせる気がします。



109p:!?
⇒正崎善がFBI特別捜査官になっていてビックリ。
アレックスと正崎、二人の主人公が出会い物語が加速してきます……悲しい……



167p:個展
⇒アレックスの妻・エマがとある画家の個展に興味を示しているシーンでふと思ったんですが、曲瀬の催眠のような能力は本当に「直接接触」に限るのかな?と。
「直接接触」と言っても64人の自殺者は(正崎の推測では)すれ違ったりした程度。
仕草や匂いという言葉以外の要素で操ることができるのならば、絵に暗号を仕込んだり、音楽やニュース映像にノイズを混ぜて操ることも可能なんじゃないかな?と邪推してみたり。
2巻の感想で「TVに一瞬映った曲瀬を見た全世界の視聴者は大丈夫なのか」と懸念しましたが、もしかしたら大丈夫ではないのかもしれません……

もっとも今巻のうちではエマには何も無かったので、はずれっぽいですが。




215p:通訳ボランティア
⇒そんなの曲瀬が潜入するに決まってるじゃん……ばかぁ……



231p:バビロン
⇒黙示録の七つの頭の獣の背に乗る「大淫婦バビロン」ですかー……。
このタイトルそういう意味だったんですね。



234p:8人だけ
⇒想定していた最悪のシナリオは、既に曲瀬に操られていたどこかの国の首脳がG7の会議中に突然自殺するというものだったので、それに比べたら今巻の結末は酷いですよね!!!!!
全く油断がならない。



245p:儲けと悪事は夫婦
⇒確かにそういう考えあるかもしれません……。
ブログにアフィリエイト入れることに物凄く申し訳なさを感じたり、適切な給料は貰いたいけど会社からぶん取ろうとまでは申し訳なくて思えなかったり。
でもその割に出費の節約=相手方の儲けの極小化についての罪悪感は一切感じないから、人間の頭って面白いです。





まとめ





2巻の感想で懸念した正崎の家族自殺するんじゃないか問題が、どうやら4巻で発生しそうで今からつらいです……。


もう………もう~~………




以上!






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