デスカイザーのラノベ日誌

ライトノベルの感想を……綴るっ!

カテゴリ: 講談社ラノベ文庫

今日のラノベ!


ドラどら王子の花嫁選び

講談社ラノベ文庫より
『ドラどら王子の花嫁選び』です。


【あらすじ】

放浪の旅から王都に帰還した“ドラゴン乗りのどら王子”クラルト。戴冠を控えた彼に、周辺各国からの縁談が舞い込んでいた。結婚を嫌がるクラルトだが、“花嫁育成学科”が設立され、勝ち残った者と結婚させられることに。どうせやるなら面白く!とみずから育成学科の教師と審判を買って出たクラルトの前に、かわいさハンパない花嫁候補が続々登場!積極痴女気味いとこ、獣系グラマー美女、黒髪ポニテ剣豪、ツルペタ金髪王女、褐色爆乳元気娘。5人の美少女がグイグイ迫る!さらに能面クールメイドと健気ロリ妹も加わって大騒ぎ!ドラどら王子は誰を選ぶ!?ヒロイン全員俺のもの!難易度ゼロのオールレンジ・ハーレムラブコメ、ここに開幕!!



感想:★★★★☆

来ました!
deskyzerが大好きな「人生、面白ければそれで良い!」というタイプの主人公・クラルトが!
ヒロインを振り回し、ヒロインに振り回される系の楽しい作品です!!!





ハーレムで、多国籍で、王子で、というところまではよくあるけれど、そこに明確に育成要素持ち込んだところが斬新でしたね!


斬新でしたが、その育成がチョロく見えてしまうのが少し残念。
320ページあまりというページ数の中でできることは最大限やってはいると思います。
クラルトの求める「面白い」の加減だったり、「周囲が何と言おうと自分の思うように」という周囲に配慮した自己中心的思考だったりを花嫁候補たちに伝えるという部分はしっかりやっていましたし。
本国の立場と自分の気持ちの間で揺れる花嫁候補たちの葛藤に、クラルトが我流の考え方でもって悩みを吹き飛ばすという描写はヒロインたちの個性が見えて良かったと思います。


ただ、だからこそもう少しヒロインそれぞれに時間をかけて欲しかった!


黒髪ポニテ剣豪、ツルペタ金髪王女、褐色爆乳元気娘の3人は国を大事に想う気持ちはとても深いはずなのに、クラルトの言葉にコロッと助けられてしまう。
逆に積極痴女気味いとこ、獣系グラマー美女の2人はクラルトを想う気持ちがとても深く、それぞれに相応の過去があるはずなのに、事実とは裏腹に軽い語り口で述べられるのみ。


もっと深く掘り下げていれば間違いなくヒロインたちが映えるのに…、とちょっともったいなさを感じました。





プロローグでエピローグ冒頭の文章を持ってきてミスリードを誘う、という手法でストーリーを構成していたのは良かったと思います!
できるメイド・ゼナンが序盤で王様に約束を取り付けるシーンも一役買っているというのは作中でクラルトが述べた通り。
あとはクラルトの「結婚なんて面倒くさい」という初期の態度、積極痴女気味いとこの序盤の正妻感もこのミスリードを補強していましたね。


そのミスリードをあらすじの「ハーレムラブコメ」という言葉と、文中の強調が台無しにしている感は否めませんが。
この作品、良いところを素直に褒めさせてくれないように大宇宙からの圧力がかかっているんですかね…?

特に文中の強調(文字のルビの位置に「・や、」を置くやつ)は「花嫁」と「俺達」という文字に付いているんですが、その時点で「5人から1人を選ぶんじゃなく全員を選ぶんだな」というのが分かってしまうのですよ…。
そんな状態でクライマックスの「溜めて溜めて……全員俺の嫁!」を読むとなると、やっぱり面白さが半減してしまうのですよ…。
これは、あれですね。
以前ラノベ文庫刊行のあさのハジメ先生の作品で一度指摘したことがある事のはずなので、もしかしたらレーベル特有の問題なのかもしれません…。



ただプロローグでの花嫁を彩る言葉が、1人のものではなく5人それぞれのものだったという演出には脱帽です!
直前に存在を否定しておいてアレですが、強調された「花嫁」に目が行ったが故に他の文章への警戒が緩むという効果があったようです…。
新しい強調の使い方……!




花嫁候補の5人が魅力的であるのはもちろんですが、毒舌無表情万能メイド、全方位天使兄LOVE妹の2人も掘り下げがあまり無いのにストレートに魅力的。
メイドに関しては、クラルトがクライマックスで花嫁の一人にしようと考えていることに納得の魅力。
さすがくーるびゅーてぃー




今巻ではヒロインの掘り下げにやや物足りなさを感じましたが、2巻では新婚初夜&新婚旅行という内容らしいのでそこを見事に補ってくれる(はず!)。
今の時点での魅力にさらに魅力を足す、という工程でどんな化学反応が生まれるのか。
楽しみです!




以上!


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今日のラノベ!

銃皇無尽のファフニールⅩⅢ

講談社ラノベ文庫より
『銃皇無尽のファフニールⅩⅢ スターダスト・クライ』です。


【あらすじ】

イリスに弓を引き、偽物の篠宮都とともに去っていった深月。自らを犠牲にしようとする彼女を止めるため、悠たちは彼女を追う。向かうのは、かつてアトランティス大陸があった場所に残る、最後の不可知領域。だが、そこはサード・ドラゴン―“真滅”のラグナロックの霧に包まれていた。その中に姿を消した深月と都を追って、悠はリーザたちとともに突入するが、そこで彼らが見たものは…!?「もうっ…深月さんは本当に―いつも一人で勝手に悩んで、突っ走るんですから…危なっかしくて仕方がありませんわよ!」冷たい闇の中で、叫んだ言葉を光に変える。霧の彼方に消えた彼女に届くように―。アンリミテッド学園バトルアクション第十三弾!


感想:★★★★★

全方位へのフラグが全て成立していると、ラブコメはこんなに平和になるんですね!



シャワー上がりのリーザ・アリエラ・レン・フィリルの着替えに乱入しても「恥ずかしいけど今さら騒ぐことでもないし…」で済まされるどころか、その場にいることも取り立てて拒否されることもなく。

人類に大いに災いを撒き散らしたヴリトラちゃんのほっぺたをつまみながらババ抜きをさせても怒られず。
ババ抜きの相手だったキーリは、当初の(それこそ禍炎界(ムスペルヘイム)のように)触れたらやけどどころか爆発しそうだった雰囲気は完全に霧散してお母様(=ヴリトラ)の可愛い姿に柔らかい笑みを浮かべ。

義妹の深月からは結婚後の財産管理を何でもないことのように言わしめ。

ティアとイリスは悠と同じ布団のなかにいること自体もはや当たり前のような感じすらあるし。




これが……ハーレム………!!!
というか一夫多妻?

本筋が本筋だけに一般的なラブコメなら多少ギクシャクしたりするところがギクシャクしないで済んだというのは、砂漠の中に給水地点が整備されているような読みやすさがありました。

もっとも、アリエラが言っていた「今のモノノベくんを怒る気にはなれない」という言葉を考えると、そうしなければいけないくらいモノノベが危うく見えていたという裏返しかもしれませんが。
だから次巻以降でのみんなの対応によっては、一夫多妻制の崩壊もありえる。
……いや、皆やっぱり素でモノノベ好きなだけだよな(前言撤回)。
そこで葛藤があるくらいだったら皆で一緒に見初められようとはならないもんな。


モノノベの周りで、水銀よ、成れ!!






本筋のほうで特に重要だった情報は、

・ノインの権能は言葉に宿る
・ノインの力=セブンス・ドラゴン(アポカリプス)の権能≒宙を定める蒼光(シャマシュ)(終焉残滓に最も長く抗った存在)
・篠宮都の魂は本物、ただし在り方は違う
・ツヴァイと都が二心同体、身体の所有者に意識の優先権


本筋はだいぶ前から「なるほど!(分からん)」としか言えなくなってきてるけれども、やっぱりドラゴン関係のほうはふわっとしたところしか理解できてない気がしますね…。
モノノベも言ってたけど、なんでノインの権能としてドラゴンの力が宿っているんだろう…?

あ、でも都のほうはさすがに理解できてますよ?

全ての終わらせ方にもよるけど、もしかしたらツヴァイとしても都としても「帰ってくる」可能性が残されているというのは、今後読み進めるうえでの期待になりますね。
最悪、裏切られても良い。
けど、深月や深月を心配するリーザ、そして何より篠宮先生の内心を考えると、最善の可能性を実現してもらいたいなぁ、と思います。




ヴリトラ出陣の構え。
となると、“本物の”ドラゴンを軸とする『ファフニール』第二章もそろそろクライマックスでしょうか。
14巻も情報量が多くなりそうで、今から恐ろしいです…。



以上!


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今日のラノベ!

トにした。

講談社ラノベ文庫より
『トラックに轢かれたのに異世界転生できないと言われたから、美少女と働くことにした。』です。


【あらすじ】

もしも、己が望むような「異世界転生」ができるとしたら―?前世の記憶を保持しつつ、チート能力持ちの俺TUEEEEE勇者として、悪をなぎ倒す無双人生!または魔王として、生意気な勇者たちを圧倒的な力でもって打ちのめす人生!それとも可愛い女の子たちをはべらせ、ハーレムを築く人生!?―ならばぜひともお願いしたい!そんな思いを密かに抱く高校生の志郎は、本当に死んでしまっていた。しかもトラックに轢かれて。このフラグ、期待せずにはいられない!!そこに現れた、エルフにも見える美少女フィリア。彼女は志郎に告げる。「あなたは転生できないの」…え、うそでしょ?志郎の転生(できない)ライフがいま始ま…る?


感想:★★★★★

生前とことん頑張らなかった主人公・志郎が、死後の世界で頑張って働くお話。




舞台は死んだ魂が集められる役所のような場所。
異世界転生ものではおなじみの、死んでから異世界に行くまでの狭間の世界ですね。

今まで、
転生させる存在=神かそれに近い存在

…という固定観念があったので、それがお役所というかハローワークのような場所として描かれ、仕事ぶりが非常にブラックだったところにギャップを感じて面白かったです!
志郎だったりフィリア(表紙真ん中の子)みたいに仕事に情熱を持ってとりかかれる人にとってはまさしく天国のような仕事場のようだし、それはそれで良い職場なんでしょう。




作品のテーマは「何かに真面目に取り組むとは?」でしょうか。

感想一行目に書いたとおり生前努力をあまりしなかったため転生ポイントが少なく理想の転生ができなかった志郎が、皮肉にも死後の世界で頑張って働いてポイントを稼ぐというストーリー。

ぶっちゃけてしまえば「結局目の前に餌つり下げられないと動かないんじゃん…」と思ってました。
でも志郎は違いました。
いや、動機は確かに餌につられてなんだけれども。

本当に転生希望者に対して真摯に向き合うフィリアの姿を見て、実際に転生していく人たちを見て。
さらに、生前「死ぬほど頑張っていた」のに夢を叶えることができなかった同級生・茉琴を見て。
心の底から「頑張ってきた人たちが、せめて来世で報われるように」と思い仕事に取り組むようになり、ついには転生者のためにフィリア以上にあがくように。
そして、そんな志郎の頑張りを見ていた転生者たちも次第に志郎のために何かしたいと思うようになり…。



ということで、
「何かに真面目に取り組むとは?」という問いには、
「その何かに関わった存在の人生を変えること」という答えを。

いい加減に生きている分には誰も振り向かないけれど、
誰かのために時間を使える人には、その人にも誰かが時間を使ってくれる。




…ポエムか





他2つほど面白かった点を!

・身長
数字が具体的っ!
他人の身長の予想が1cm単位とかこやつ何者じゃ…!?

・スライム
今作のメインヒロイン、スライムのレンちゃん!
その圧倒的可愛さと底の知れない愛の深さに、志郎からの愛情もページをめくるごとに深まっているのが妙にハマりました!
レンちゃんの知能指数が段々上がっていくにつれて、あざとさを感じるようになるんだけどレンちゃんがそんな計算しているわけがなく全ては志郎のためを思っての行動なのでレンちゃんは絶対に天使(スライムです)。


・イラスト
こもわた先生のSDキャラはPCゲームブランドのゆずなんちゃらとかでよく見ているんですが、こういうイラストをお見かけするのは初めてでした。
こっちもいいですが、やっぱり真骨頂はデフォルメが入った時でしたね。
221pのわたわたしてるフィリアがお気に入り!





第一転生課、第二転生課が存在するこの世界。
他にも色々死者に関する部署があったりするのかな?とか、食堂の食材はどこから来ている…?とか、手土産って具体的に何なんだろう…?とか、全ての世界の(それこそひと月で何百万何千万人単位の)転生者に対応する人数がそもそも少なすぎない?とか大小色々疑問がありますが、疑問が浮かぶということは興味のある証。
とにかく2巻が待ち遠しい!




以上!



今日のラノベ!


黒ギャルが異世界に転生してダークエルフと勘違いされました

講談社ラノベ文庫より
『黒ギャルが異世界に転生してダークエルフと勘違いされました ~モンスターもマナもマブって実は最強~』です。


【あらすじ】

事故で異世界転生した色黒ギャルな女子高生・東条あにすは、その容姿から、ダークエルフと間違えられてしまう。兵士に捕らわれてピンチに陥るあにすだが、小国フィニアスの王女ラダに救われる。そしてどうやら、あにすはオークなどのモンスターや、万物の力の源であるマナさえも魅了できる、『マブる』という特殊なスキルを持っているらしい。女難の相を持つ冒険者ケンゴとともに、新米冒険者として活動しつつ、元の世界に戻る方法を探すことにするあにす。しかしある日、ラダ姫が何者かにさらわれてしまう。そしてその事件は、フィニアスに迫る戦乱の予兆で…?ギャルが異世界を舞台に数々の伝説を築いていく痛快ファンタジー、ここに開幕!


感想:★★★★☆

事故死で異世界転生というのは最早定番となっているけれども、ベッド型日焼けマシーンの暴走事故がきっかけとなっているのは初めて見ましたねー……。
ありふれてる「異世界転生」という設定をこういう切り口で面白くしていくのは、もっと増えていってほしいですねー!
バス・電車・トラックっていう三大異世界転生乗り物も、それ以外が増えていけば一種伝統芸のような立ち位置で味が出てくるでしょうし。

ほかの作品で思いつくのは、アニメ2期放送中の『このすば!』のトラクターに轢かれかけてのショック死とか、『もじょと極める異世界仰天生活』の文字通りの青天の霹靂死とか?
調べれば(思い出せば)まだまだありそうですね。





内容は……大体タイトル通り。
ダークエルフとして転生したのではなく、あくまでも黒ギャルとして転生された主人公・あにすが、固有能力「マブる」(=仲良くなる)で人だけでなくモンスターとも仲良くなり…、というお話。
水着なのは、生前日焼けマシーンに入っていたからですね。

……そう考えるとこの転生はいわゆる魂が転生したんじゃなく、肉体的な転生という形に…?
あれ?ワンチャン元の世界に帰れるのかも…?




指導役のケンゴがこじらせている女嫌いを、かつて自分が黒ギャルとなった経緯と重ね合わせズバズバ切っていくあにすがかっこよかったです!

その内容はケンゴの近くにそれなりに居たら誰でも分かることだったかもしれないけども。
それなりに居たらケンゴの過去の話も耳に入って、核心に迫る事は言いづらいだろうに。
そこに、踏み込む強さ。

「自分はこう思った」というのを包み隠さずぶつけていくあたりは、さすが座右の銘が「素直に生きる」というだけのことはあります。
その座右の銘に至るまで彼女が優等生としてどれだけ我慢してきたのか、本編で少し触れているだけということが逆にリアリティを感じました。
あにすほどじゃないにしろ、似たような状況でうまく立ち回れなかった(期待に応えられなかった)経験があるので余計に共感しました。

核心には踏み込むけど押し切らずに引いてケンゴの考えを尊重した彼女の言動は、「こうやってほしかった」っていう彼女の理想なのかも…?





モンスターとマブることで起こる展開は概ね予想通り。
マナに関しては予想よりも自由度が高かったですね。

ただし、タイトルにある「最強」というところには疑問が残る内容でした。
駆け出しの冒険者としては驚異的な活躍であることは間違いないけれども、

あにすは、その戦闘で役に立たなかった。
盗賊達に対して弱すぎたからではない。
カエデが圧倒的なまでに、強すぎたからだ。
” (本文219p)

……と、カエデ(王女護衛の侍女)>あにすという式が成立しちゃってますからねぇ…。
ついでにカエデは国にある4つの軍隊の将の長と同等くらいの強さで、さらにその将と同じくらいの強さなのが件のケンゴで。

将来的に強くなるという意味と、ギャルっぽさを込めて「~実は最強?」というタイトルだったらパーフェクトだったんですが……、実に惜しい!




あと猛烈に気になったのが、帯に書いてある“つらたん?いやいや、これは冒険譚!”という言葉!
キャッチコピーだと思ったら、あにすのセリフでした…。

こう、何と言いましょうか…。
黒ギャルが言うにしても優等生が言うにしても、どちらにしても強烈な違和感がね!?
そこに至るまでで出来ていた「あにす=真面目なギャル」という印象が音を立てて崩れていきました…。
まさかのオヤジギャグ…。
このワードを思いついた時の七烏未先生のドヤ顔が目に浮かぶ…。




あにすが伝説の調停者(ドルイド)と呼ばれるまでの物語。
ダークエルフ要素・黒ギャル要素が無理なく続く限り読みたいです!



以上!


どもー。
デスカイザーです。


2本まとめて買っておいたビニール傘の直径が微妙に小さくて、今朝の雨でひざ下ビショビショでした!
そもそも傘をさし慣れてないというのもありますが。
大学行く時はさすけど、バイトの時は自転車なので合羽でびしょ濡れヒャッホー!なので。
道交法は守りましょう。




そんなわけで今日のラノベ!

ツール・ド・ガールズ!!

講談社ラノベ文庫より
『ツール・ド・ガールズ!!』です。


【あらすじ】

天才サイクルロードレース選手の少年・狼堂迅人は、世界大会での優勝を目前にして、怪我により競技の道を断念することになった。失意の日々を送る迅人だが、縁あって高校の女子自転車競技部の監督を務めることになる。世界大会の女子部門“ツール・ド・ガールズ”優勝を目指す部長の小鳥遊あひるをはじめ、個性豊かなメンバーたちのひたむきな様子に、当初は気乗りしなかった迅人の姿勢も次第に変化していく。しかし、そんな彼女たちの前に、迅人と深い因縁のある世界トップクラスの選手、シュリック姉妹が現れ…?「あたしは―あたしの大好きを証明したい」第5回チャレンジカップ“優秀賞”受賞の青春自転車ストーリー!


感想:★★★☆☆

講談社ラノベ文庫編集部は、すごい逸材を見つけたのかもしれない…。




内容はずばり「ロードバイク×美少女」(あとがきより)。
『ラブライブ!!』と同じノリのタイトルです。
つまりタイトルと同名の大会に向けて美少女たちが努力するお話です。


私が乗っているのはロードバイクじゃなくてクロスバイクなのですが、それでも彼ら彼女らの言う魅力というのはすごく共感しました。
自分の踏み込んだ分だけ風を切る感覚が変わっていく感覚、自分の力で進んでいるという実感。
私は趣味として、ですが迅人やあひるは競技としてそれらを感じているんだからさらにワクワクするんだろうなぁ、と思うと羨ましかったです。

これだけの魅力を、文章によって余すことなく描ききっていること
それが、この本を通じて感じたさいききょうや先生のすごいポイントだと思います。
例えば……迅人が自分の愛車に久しぶりに触った時のこの描写。


迅人はバイクのフレームに跨り、ハンドルをぎゅっと握り締める。
瞬間、しびれるような感覚が背筋から脳髄に走り抜けた。
心臓がドクンッと脈動する。
両脚の大腿筋がピクピクと痙攣し始めた。
迅人は慌ててハンドルから手を離す。
「俺を、待っていたのか?……でも、ごめんな。もう本気では走れないんだよ」
迅人はそう呟いてから、バイクのメンテナンスを始めた。
(本文40p)



ひとつひとつの文章だけで見ると、言ってしまえば何の変哲もない文章。
なのに、1行目、2行目…と読んでいく度に地層が重なって形成されていくかのように場面が立体的に構築されていくんですよ…!
そうなるとキャラへの移入も一気に高まって、すごくワクワクするんです!!

それにここだけが奇跡的なバランスでそう見えるだけというわけじゃなく、他のシーンでも度々こういうワクワクを感じる描写がありました。
まさにロードバイクの楽しさがふんだんに詰め込まれた1冊と言えるんじゃないでしょうか!



一方、ストーリーは良いところもあり、あれ?と思うところもありという感想ですね。
ロードレースの暗黙の了解が色々と絡んでくるので、私も整理しきれてないのですが…。


この巻であひる達のライバルとして現れるシュリック姉妹。
彼女らの兄が迅人とかつてのチームメイトで、とあるレースで迅人がシュリック兄に優勝を譲らなかったことが原因でシュリック姉妹は迅人に復讐しようとしているんですが…。
「全力で勝負してくれ」と頼んできた相手に全力で勝負して叩きのめした迅人には何の非も無いんですよね…。
”総合優勝を狙う選手はステージ優勝をチームメイトに譲る”という暗黙の了解も、シュリック兄の頼みの時点で無効というか無いも同然になると思うんですが…。
しかも迅人はこれ以前から自らの勝利のために暗黙の了解を無視する選手だったらしいですから、何もこの日が特別ひどかったというわけでも無いですし…。

私が思っている以上に暗黙の了解というものが重いのか、それとも「全力で勝負してくれ」という言葉に「暗黙の了解を守ってくれ」という意味が込められていたのか、はたまたシュリック兄の涙の意味は純粋に負けた事への悔しさでシュリック姉妹の復讐が的外れなものだったのか。
もしかしたら今後明らかになるのかもしれません。



「暗黙の了解を破った迅人に復讐を」というシュリック姉妹が、あひる達とのレース中に暗黙の了解を破って脚技(アクセルアーツ)で直接攻撃してくる展開は最高でした!!
……あ、いや「ざまぁ」とかじゃなくて。

シュリック姉妹が不文律を犯したことに対して迅人が「ふ、ふざけんな!」(本文222p)と叫ぶシーンがなんとも皮肉。
欲を言うならそこに対する迅人の自戒があればなお良かった。


ロードレース(物理)





そこでレースを続けられないほど酷い怪我を負った六華が翌日何事も無かったかのように練習始めようとしていたのは解せんけどなっっ!!!!!!!!




総合的な感想としては、突出して良いところもあればどうしても納得できない場所もあるのでプラマイゼロからややプラス寄り、というところでしょうか。
でも最初にも途中にも書いたとおり、すごく良い描写をする方だと思うので次にも期待したいです!

あ、でも。
少なくとも水着はいらなかったんじゃないかなぁ、と。

(昨今の「唐突なお色気シーンのあるラノベは何なのだ」論争にもつながるのかも)




兎丸ちゃんがうさぴょん可愛い


以上!


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さいき きょうや
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